南極・北極旅行&クルーズ 株式会社クルーズライフ

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南極クルーズ・北極クルーズの手引き

陸生哺乳類

ツンドラには数種類のタビネズミが生息しています。
これらの小さなハタネズミに似たげっ歯類は主として植物を食べていますが、多くの北極の哺乳類や鳥類の食物連鎖にとって欠かすことは出来ません。時には空腹のホッキョクグマも土を掘って巣穴から獲ります。
タビネズミは冬の間中も巣穴や積み重なった雪ノ下のトンネルで活動しています。
驚異的な速さで繁殖し、個体数が増えすぎるとほぼ4年毎の周期で激減します。
ユキウサギの個体数も定期的に増減します。ユキウサギの分布北限では年中白い冬毛のままです。

ホッキョクキツネは短く丸みのある耳と厚い毛皮の脚で厳しい環境に適応しています。ほとんどは掃除動物で、冬にはしばしばホッキョクグマの後について食べ残しを漁ります。
また、死肉、小動物、鳥、卵やベリー類も食べます。
冬には白色になる種類と灰色がかった青になる種類と2種類います。
オコジョ(ヤマイタチ)も北極地方の捕食者です。
その白い冬毛はわな猟師達により高く評価されています。
もじゃもじゃの尻尾を持ち、背中に幅広の黄色がかった縞がある、小型のクマに似たクズリは雑食性です。わなにかかった獲物を横取りすると言われています。
次に大きいのはシンリンオオカミ(ハイイロオオカミ)です。高緯度北極ではシンリンオオカミの冬毛はほぼ白色で、シカ、カリブー、ヘラジカ、などの大型草食動物も襲いますが、大抵は弱くて年老いた、あるいは病気の個体を襲うので、かえって獲物動物のためになります。

北極の荒野ではカリブーがオオカミの主な獲物ですが、鳥や小型動物も捕食します。高緯度北極で最大の肉食動物であるホッキョクグマは人間による狩猟最高の獲物のため大分数が減ってしまいましたが、最近の科学的調査によりこの素晴らしい生き物に対する一般人の考え方が変わりつつあって、部分的な保護政策で、原住民による狩猟は継続してはいますが、絶滅危惧種リストから抜け出せる希望がすこし見えてきました。しかし、地球の温暖化こそが最大の問題かもしれません。
ホッキョクグマは交尾期あるいは母と児の組み合わせ以外は群居しない習性があります。非常に泳ぎがうまく、海氷上をそっと追って主にアザラシを捕食しますが、黒い鼻先を大きな前足でかくしながら追う姿も目撃されています。さらに座礁した鯨の死骸、鳥、そして植物さえも食べます。雌は冬の間の雪穴で1~2匹の子を産みます。

大型の陸生草食動物はカリブーとジャコウウシの2種です。極北の多くのイヌイット社会はカリブーに依存しており、肉はイヌイットとその犬たちの食糧に、皮はベッド、衣類、テントに用いられます。同様に、チュクチ,ネネツ、サーミ、その他のユーラシア方面の原住民族もシンリントンカイ に大きく依存しています。
トナカイはツンドラの乏しい地衣類、コケ、イネ科植物やヤナギなどの食糧を求めて群れで常に移動しています。
なかには冬の間の食べ物と避難場所を求めて1,000㌔も移動する群れもあります。
グリーンランドのカリブーはカナダのツンドラトナカイとは別亜種で、シベリアで家畜として飼育されるシベリアトナカイとは同種であると考えられています。
スヴァールバル・トナカイ(Rangifer platyrinchus)は脚が短く、厚い皮下脂肪と毛皮が特徴で、もっと大きいヨーロッパ種から適応進化したもののようですが、その起源と遺伝子関係などのはっきりした事についてはまだ結論が出ていません。
その他の亜種はフランツヨーゼフ・ランドでも記録されたことはありますが、今は生存しているか、もしそうならスヴァールバル種やノヴァヤゼムリャ種と関係があるのかなどは定かではありません。

ジャコウウシは通常小さな群れで行動します。彼らが外敵に対してよくとる、頭を外側に向けて円陣を組む形はオオカミには効果的ですが、ライフルを持つ人間に対しては効き目がありません。
それ故、従来の生息地の多くから近年一旦いなくなりましたが、厳しい保護政策のおかげで回復しつつあります。
60㌢もの長さの外毛と密な内毛の断熱効果が非常によいので、夏には熱中症気味になる事もあるようです。夏に脱ぎ捨てる綿毛は柔らかい絹のような感触で灌木の間に絡まっているのを見かけますが、イヌイット語でキヴィアト(qiviut)と呼ばれ、カシミアに似た織物にすることもできます。
1975年にウランゲル島に移入したジャコウウシはうまく繁栄しているようです。

(北極旅行&北極クルーズ6-5)