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南極クルーズ・北極クルーズの手引き

北極の生態系

北極の生態系は南のものより新しい生態系と考えられています。
北極では氷河の進出で生物の進化が度々中断されました。南の低緯度地方に比べて、北極生態系の長期的な生物の安定性は不十分です。
北極の生態系は多くの生物量を持ちながら総合的生産量は低いのです。
多くの種類の生物が少量ずつではなく、北極では少ない種類の生物がかなりの量で見られるのです。
例えば、カリブーの群れやものすごい数の蚊などです。しかし、大量数にもかかわらず各シーズン幼生死亡率もまた非常に高いので順調な増加にはなりません。
荒々しい天候が、ほんの短時間で北極生物に大打撃を加えて量も激減してしまう事があります。
その一例は、シベリア北極のウランゲル島のハクガンです。
1965年には40万羽だったのが、10年も続いた春の吹雪のために卵の孵化が出来ず、1975年には5万羽足らずに減ってしまいました。
2006年には10万羽にまで戻りましたが。。。

ほとんど天候変化が原因で、南の例に比べて北極の生態系は常に緊張状態にあるので、ちょっとした事故にも対抗できないと科学者たちは見ています。
南では繁殖シーズンが長いので、最初に産んだ卵が途中でダメになった場合に2回目または3回目の産卵も可能です。
ところがそれに比べて北極では繁殖シーズンが短いため産卵から巣立ちまですべてを急いで行わなければならないのです。
束の間の太陽エネルギーの浸透が温和で明るい天気と雪を融かした飲み水、食物連鎖の底辺にいる植物の光合成を促し、それを捕食するその上の段階の動物や昆虫の餌となります。
このプロセスのほんのちょっとした変動も繁殖中の動物にとって大問題なのです。

北極生態系のもろさと弾力性を混同すべきではありません。
北極の生態系は実は弱い生態系ではないのです。
一旦激減してしまった群れが盛り返して再び大きな群れになった事もあります。
現在、研究者たちは北極の生物が環境のストレスから回復する生物学的仕組みを解明しようと努力しています。
いま分かっている事は、ほとんどの種は自然災害にはうまく対処できているが、自然災害と油の漏えい、公害、騒音などの人的災害の組み合わせにはほとんど備えがなく、しかもそれに頻繁に遭遇しているという事です。

北極生態系の最重要要素は太陽です。天気よりも太陽光線量がこの地方の生物の命を左右しています。
太陽光線がほとんどない環境で生き、成長できる種はまずありません。
光が遠ざかると動植物はそれに合わせて成長や活動を再編成しなければなりません。シーズン変化に合わせた生き方が緊急重大となります。
さらに、多くの温血動物は北極で生き延びるために必要な熱を体内に温存する機能を持っていません。
結果として、北極地方ではわずか48種類の哺乳類しか生息せず、6~7種の鳥しか北極で冬越しをしません。さらに、600種の昆虫類と50種類の魚類と言う貧弱な多様性です。ですから野生環境のワイルドライフをみつけるには基本的な生息地に関する知識と共に忍耐が必要です。

(北極旅行&北極クルーズ6-8)