パラダイス湾(Paradise Harbor)
南緯64°51′ 西経62°54′

南極半島で最も美しいと言われるのが名前の通りパラダイス湾です。周囲の山から大小様々の氷河が流れ込み、快晴の日のすばらしさはもちろんの事、曇天の日でも私たちを幽玄の世界に誘ってくれます。

パラダイス湾

湾の中にはルメール島とブライド島が浮かび、ゲーラーシェ海峡を挟んで雄大なフランス山(2,825m)が見えることもあります。南極半島本土側にはチリのプレジデンテ・ガブリエル・ゴンザレス・ビデラ基地とアルゼンチンのアルミランテ・ブラウン基地があります。 アルゼンチンのアルミランテ・ブラウン基地は南極半島北端にあるエスペランザ基地と並んで同国の主力基地でしたが、1984年4月12日、二回連続越冬を嫌がった医師による放火で全焼してしまった後、本国の厳しい財政状態のため遅々として再建が進んでいません。

プレジデンテ・ガブリエル・ゴンザレス・ビデラ基地

アルミランテ・ブラウン基地

基地背後の急斜面上からはパラダイス湾全体の美景が見渡せます。またその裏のスコントープ入江に流れ込むアヴァランチェ氷河やスピッツヴァル氷河の先端近くまでのゾディアッククルージングでは白一色ではない南極の色彩を楽しめるでしょう。湾内にはキバナウやサヤハシチドリ、そして南極アジサシなども巣を作り、ミンククジラや速い海流に乗って流れ込む流氷の上にはカニクイアザラシやヒョウアザラシなども見られる可能性の高い場所です。

ゾディアッククルージング

チリ基地があるのは、海図上ウォーターボート・ポイントと呼ばれる小さな半島ですが、その名前は1921年、英国探検隊の若い隊員2名がウォーターボート(本船への水運搬用ボート)を使って史上初めてのゼンツーペンギン繁殖調査のために越冬した記録に由来しています。そのボートのわずかな残骸がゼンツーペンギンの営巣地の中に見られます(1986年の調査では750番)。ここのゼンツーペンギンには背中の黒色が欠落する白色変種の遺伝子が受け継がれているようで、毎年白いヒナが繁殖しています。

白いゼンツーペンギン

 

◆パラダイス湾で見られる動物達◆

ⒸRlindblad171222