ロングイヤービーエン

 

地図
 

北緯78.13度/東経14.14度

 

地理

ノルウェー領スヴァールバル諸島、最大の島であるスピッツベルゲン島は日本の九州とほぼ同じ面積です。行政の中心地であるロングイヤー・ビーエンは人口約2,000人で、政府や諸島全体を管轄する行政機能もここにあるためスヴァールバル諸島の「首都村」と言えます。人口はスヴァールバル諸島の大半を占め、1,000人以上の人口を有する町の中では世界最北に位置しています。

1990年代以降、この地域での観光や研究開発は、最優先事項となってきました。ノルウェーの国営炭鉱会社による独占利用の放棄があり、ロングイヤービーエンは、北極圏の観光の拠点として諸島で最も人口の多い場所となりました。

ロングイヤー・ビーエン港

 

歴史

名前は町の創設者でもあり極夜(10月~2月中旬)と白夜(4月~8月中旬)を経験した米国石炭採掘業者ジョン・モンロー・ロングイヤーに因んで名づけられました。

20世紀前半のロングイヤー・ビーエンは企業統治が行われていました。石炭採掘だけでなく、住居、食品日用品の供給などの整備が進められていました。

1990年代初頭までは炭鉱業中心でしたが、次第に人が生活する場所へと変わり始めました。現在も鉱業は継続されており、町の電力は近くにある石炭燃料の火力発電所から供給しています。また観光産業も重要産業の一つであり、研究など様々な仕事があります。飲食店、ホテル、博物館、野外活動のためのキャンプ用品や装備を取り扱うお店もいくつかあります。

 

生物

スヴァールバル諸島の中でも気候は穏やかで同緯度の他地域と比べると生物学的多様性が大きく、国際自然保護連合が作成した絶滅のおそれのある野生生物リストの希少種も多く存在します。

またこの島は諸島全体の極地科学的研究対象であると同時に、世界の農作物種の保存を目的としたスヴァールバル世界種子貯蔵庫があります。こちらは、2008年にビル・ゲイツが主導し、地球上の種子を冷凍保存する世界最大の施設です。そこには何百万種類もの植物の種子が保存された、いわば種子の箱舟です。施設の目的は、今後予想される大規模で深刻な自然災害や病気の蔓延、気候変動等に備えて農作物絶滅を防ぐとともに、世界各地で地域的な絶滅があった際には栽培開始の機会を提供することだと言われています。貯蔵庫は地球の温暖化、洪水、火災、核被害などの天災および人災からも保護されるようになっています。

1990年代「ロングイヤー・ビーエン緑化計画」により、中心部に種が蒔かれ緑で覆われるようになりました。周辺にはスヴァールバルトナカイ、ライチョウ、ホッキョクギツネなどがいます。

 

気候

島の西側を流れる暖流と低気圧の影響で同緯度の他地域と比べると穏やかです。イスフィヨルドはロングイヤービーエンと通じており、冬でもほとんど凍らないため北極航路の中でも重要な拠点の1つです。しかし冬の時期は寒さが非常に厳しく、夏の時期でもツンドラ気候であるため植物の生長可能期間は数か月と言われています。

1年の大部分が白夜、極夜になります。白夜は4月20日から8月23日までで、夏至の太陽高度は1日中11度から35度にあります。極夜(太陽が昇らない)は10月26日から2月15日までで、11月11日から1月30日までは薄暗くなることもならないためずっと夜が続きます。

 

交通

ロングイヤービーエン空港(ロングイヤービーエンの西側)には、通年ノルウェー本土から航空便が就航しています。スピッツベルゲン島には長距離道路はありません。そのため夏の時期には船、冬の時期にはスノーモービルで移動します。

ロシアの石炭会社があるバレンツブルクにはヘリコプター基地があります。スヴァールバル空港から従業員を輸送しています。

ロングイヤー・ビーエン空港