7月14日氷河(14th of July Glacier)
北緯79°12’東経11°85′

アルバート1世(モナコ公)により、フランス共和国の成立を祝う日(パリ祭)に因んで名付けられました。

7月14日氷河は16kmの長い氷河であり、クロスフィヨルデンに至るまでに渡ります。最高潮では、海面30m以上に達します。濃い色の山々に囲まれる青白色い氷河は、より一層美しいい景色となっています。

 

7月14日氷河

氷河の北側にある断崖では2種のウミガラス、ニシツノメドリ、ヒメウミスズメなどが、低い部分ではケワタガモ、カオジロガン、ハシブトガンなどが繁殖します。

 

ヒメウミスズメ

さらに崖のふもとには、グアノ(海鳥の糞やエサ、卵、骨などが長期間で化石化し、大地の肥料になったもの)によりツンドラが広がり、トナカイやガンたちのための豊かな植生を供給しています。

 

 

ニーオーレスン(Ny-Alesund)
北緯78°55’東経11°56′

人が住居する世界最北の町です。コングスフィヨルド(王のフィヨルド)の中ほど南岸にあり、19世紀初め頃英国の捕鯨船が偶然ここで石炭層を見つけたのがこの町の始まりです。

ノルウェー本土の町オルスンに本社がある採炭会社がこの地をニー(New)オルスンと名付け、1917~1962年の間、石炭採掘の町となりました。しかし、1962年に21名の犠牲者を出す事故があり閉鎖されました。

現在、巨大な国際極地科学研究所へと変貌し、フランス、ドイツ、イタリア、日本、ノルウェー、イギリスの国々が国際観測村で地球温暖化のいろいろな局面を観測しています。

 

キョクアジサシ

また、飛行船で北極点を目指した探検家たちの出発点としても歴史に名を刻まれています。1926年にアムンセン、エルスワース、ノビレはここから飛行船ノルゲで北極点上飛行に成功しています。ツェッペリンやバード大佐もここから出発しました。現在でも、アムンセンやノビレが使った飛行船をつないでおくロープの柱が残されています。

大西洋暖流と北極からの寒流が出会う辺りの沖合は、栄養豊かでフィヨルド内の崖には多くの海鳥が営巣しており、諸島全体で15カ所ある鳥類保護区の内3か所がコングスフィヨルドに集まっています。

 

 

リリーフックフィヨルデン(Lilliehookfjorden)
北緯79°16’東経11°40′

クロスフィヨルデンの北端に位置する、この雄大なフィヨルドは14km延び、リリーフックブリーン(ブリーン = 氷河)のところで終わります。その氷河の表面である海岸氷河は、7kmの半円形になっており、晴天には太陽光を受けた素晴らしい輝きを見せてくれます。

 

リリーフックフィヨルデン

これらのフィヨルドと氷河の名前の由来は、1861年スウェーデンのスピッツベルゲン探検隊指揮官のグスタフ・ベルティル・リリーホックから名づけられました。

1906年には、モナコ大公により測定・撮影された写真からは、40%の氷河が後退していることが分かっています。

また、リリーフックフィヨルデンのあるクロスフィヨルデンは、コングスフィヨルドから北に伸びる約30kmのフィヨルドです。その奥には、このリリーフックフィヨルデンやモレーフィヨルデン、そしてその先のコレーフィヨルデンに枝分かれしています。

1906~1907年クロスフィヨルドとラウドフィヨルドでは、スヴァールバル海域で海水観測が実施されます。それ以降、気候変化を最も受けやすいフィヨルドとして注目を受ける場となっています。

 

 

ニーロンドン(Ny London)
北緯78°9’東経12°4′

この場所には、歴史、地質、鳥類の生態、植生と4つの豊かな自然があります。重要な大理石の堆積物や変成作用した古い石灰岩は、1910~1920年にかけて北方探査会社のアーネスト・マンスフィールドの地質調査の対象でした。ここの大理石は、商用目的に調査されましたが、多大な設備投資を行った後、大理石の質が低いために、商用に適さないことが明らかになりました。

 

ニーロンドン/上陸観光

現在は、重要な文化遺産の場所となり、上陸観光の際は、歴史的な物の周りを歩いたり、触れたりしないように注意する必要がある場所です。

 

スヴァールバルトナカイ

 

 

プールピンテン(Poolepynten)
北緯78°4’東経11°9′

1625年、イギリス=アイルランド王に即位したチャールズ(カール)I世にちなんでつけられました。スヴァールバル諸島西部にある南北に細長い島は、約86kmあるプリンス・カール・フォーランド島です。

 

プールピンテン/上陸観光

プールピンテンはその島の東側に突き出た約1.5kmの低い半島で何度もこの海域に探検に来ていたイギリスのジョナス・プーレにちなんだ名前です。

 

プールピンテン/セイウチ

ここはセイウチの群れが見られる可能性の高い場所です。

セイウチは深さ50m程の海底で、口の周りに生えている硬くて敏感なヒゲをブラシのように使って2枚貝などの軟体動物を探し出し、身だけを吸い取ってしまうのです。接触走性(接触が刺激となってさらに集まる習性)があるセイウチは群れでいる事が多い動物です。音にも敏感なセイウチを驚かせないよう2組に分かれて、静かに最大30m程まで近づきます。