ヘリテージ・エクスペディションズ社 2020年 北極(2019年9月改定版)
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19地質や風景などを探索する予定です。グループの中で最も標高の高い島は、群島の最も北にあるベネット島です。グレート・リャーホフスキー島の南岸には、活動中の気象観測所があり、僅かな職員が常駐しています。この海の西側は、タイミル半島とセヴェルナヤ・ゼムリヤ。東側は、ニューシベリア諸島(ノボシビルスク諸島)に囲まれています。ラプテフ海の名前は、ロシアの探検家ドミトリー・ヤコヴレヴィッチ・ラプテフとハリトン・プロコフィエヴィッチ・ラプテフ従兄弟を称えて名付けられました。ラプテフ海には、レナ川とヤナ川の2つの大河が流れ込んでいます。ラプテフ海の西側に沿ってタイミル半島を探索する予定です。ラプテフセイウチは、ラプテフ海のみに生息していて、この海域でしか見られません。このユニークで完全に隔離されたセイウチの個体群を撮影したいと考えています。また、あまり知られていないセグロカモメも見られるチャンスがあるかも知れません。我々はラプテフ海からタイミル半島とセヴェルナヤ・ゼムリャ諸島を隔てるヴィリキツキー海峡を通って、ユーラシア大陸最北の地点を通過します。このことは、この探検クルーズにとって重要な出来事です。伝統的に氷がきれいになる最後の地域と太平洋と大西洋の野生生物の間の生物学的な分水嶺とも言えます。1879年、ジャネット号は、東シベリア海で氷に捕まり、漂流し、そして、氷に押しつぶされ沈没したところです。乗組員達は、救命ボートでコリマ川のデルタ地帯まで辿り着きましたが、そこで多くの人が死んでしまいました。ジャネット号の残骸は、1884年にグリーンランドで発見されました。ジャネット号の発見は、1893~96年のフリチョフ・ナンセンの北極海を横切って漂うフラム号探検に重要なヒントを与えてくれました。このニューシベリア諸島は、ラプテフ海と東シベリア海の境界に位置し、主に、南部(リャーホフスキー諸島)と中部(アンジュー諸島)、北部(デ・ロング諸島)からなる3つの主要なグループで構成されていて、ラプテフ海と東シベリア海の境界となっています。有名な極地探検家兼研究者フリチョフ・ナンセンが、北極海の流氷に密閉されて漂流しながら地理上の北極点に到達しようとした探検で、フラム号を流氷に浮かべたのはこの辺りでした。ニューシベリア諸島は、マンモスやサイ、その他の極北の更新世の動物の化石の宝庫で有名です。我々が島を探検している際に化石を発見する事は、決して珍しい事ではありません。この探検クルーズでは、めったに訪れる事のない驚くべきニューシベリア諸島を探検するために2日間の時間をとりました。条件が許せば、3つの主要なグループの島々を訪れユニークな要な河川、インディキルカ川、アラゼヤ川、コリマ川が東シベリア海に流れ込んでいます。平均的な水深は、僅か54mで、セイウチやクジラの生息地として理想的な海となっています。コリマ湾の東側に位置するアイオン島は、比較的低地で肥沃なツンドラに覆われています。この島を故郷と呼ぶチュクチ族の人々は、トナカイ遊牧民とハンターです。ソビエト時代には、2万頭ものトナカイがこの島で飼われていましたが、現在は4千頭ほどです。過酷な北極圏の気候にもかかわらず、この遠く離れた島での生活について学ぶと同時に、地元の人々の温かいおもてなしを楽しみます。今日、ほとんど知られておらず、めったに人間が訪れる事もない、花崗岩からなる5つの群島のメドヴェジイ諸島(ベア諸島)を探検します。名前が示すように、島には冬の間、これらの島々の岸辺に巣を作るホッキョクグマがかなりいます。チェティリョフストルボヴォイ島への上陸では、遠くから見るとモアイに似ている珍しい岩「ピローズ」へのハイキングを予定しています。永久凍土が解けてゆっくりと海に流れ落ちる様や、永久凍土の上に建っている気象観測所が、ゆっくりと崩壊する様子が見て取れます。オストロフ・プシュカレヴァ島では、古い灯台の見学や広大なツンドラに咲き誇る北極の花々をお楽しみいただきます。●詳細日程 No.5歴史浪漫の北東航路探検クルーズ(西行き) 27日間第10日目アイオン島観光第11日目メドヴェジイ諸島(ベア諸島)観光第12日目東シベリア海クルーズ第13~14日目ニューシベリア諸島(ノヴォシビルスク諸島)観光第15~16日目ラプテフ海クルーズアナディリ発/ムルマンスク着

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