クォーク社 2021年 南極での皆既日食
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10カメラ撮影ワンポイントアドバイス写真好きの人はそのような素晴らしい光景を何とか写真に残したくなると思います。日食写真には、狙う対象ごとに色々な撮り方があります。皆既日食の被写体には、360度の夕焼けというような超広角レンズ向きの撮影対象から、コロナの微細構造のような望遠鏡を使って撮影する対象まで、様々な被写体があります。そのため、あれこれ狙いたくなりますが、皆既継続時間は非常に短いので、初めての方は欲張りすぎずに、眼で眺めて楽しむ時間も十分確保できる撮影計画を立てるようにしてください。地上風景とともに夕焼けのような空とコロナを一緒に撮るスタイルです。今回の南極日食では、太陽高度は15度ぐらいですから、フルサイズ換算で24~35mmぐらいの広角レンズで、コロナから地上風景までをバランスよく収めることができます。皆既中の空は、日没後30分ぐらいの暗さになり、ISO400ならF4で1/15秒ぐらいが適正露出になります。スタビライザー付きのレンズなら手持ちでも何とかブレずに写せる限界ぐらいなので、できれば三脚を使いたいところです。広角撮影の場合最低200mmぐらいの望遠レンズ、できれば500mm以上の焦点距離の望遠鏡を使いたいところです。ただ、船上で日食観測を行う場合は船の揺れの影響で、長焦点レンズではコロナを画面内に捉えるのが難しくなるので、短めの焦点距離のレンズを使った方が成功率を高めることにつながります。皆既帯の中の到達可能部分の大部分の海上では、有効波高(SWH)は平均1.75mから2.5mとのことです。コロナを撮る際の露出は、コロナが非常に輝度範囲の広い被写体であるため、適正露出を決めにくく、例えばISO100、F8の場合、1/1000秒から1秒ぐらいまで2段ごとぐらいに露出を振って撮っておくのがおススメです。このような多段階露出を行っておくと、広がり方が異なるコロナの画像が得られ、もし手間を厭わなければ、後日画像処理を行うことで図11のような流線構造を強調した画像に仕上げることも可能です。コロナ撮影の場合2012ニュージーランド沖皆既日食のコロナ2013年ウガンダ皆既日食の皆既中の光景(太陽高度18度)Photo by Fred Espenak

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