クォーク社 2021年 南極での皆既日食
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世紀の天体ショー天文現象の中で最も美しく壮大な現象である皆既日食が、2021年12月4日に南極で見られます。南極で皆既日食が見られるのは2003年11月23日以来18年ぶりとなります。南極での次の皆既日食は2039年12月15日まで待たないといけません。2021年は、雪と氷に覆われた南極の壮大な光景の中で神秘的な皆既日食を見ることができる貴重なチャンスです。7皆既日食とは、太陽と月と地球が一直線に並んだ時に起こる現象です。太陽の中心と月の中心を結ぶ直線上に位置する地球上の限られた狭い地域で、月がまぶしい太陽の光を完全に覆い隠す状態になり、白昼に突然闇が訪れ黒い太陽の周りに美しいコロナが忽然と現れる神秘的な光景です。皆既日食時に見られる光景は昔から人々に大きな感動を与えてきました。天照大神の天の岩戸伝説のような伝承を生んできました。このような皆既日食が見られるのは、地球から見た月の大きさと太陽の大きさがほぼ等しいという偶然がなせる業で、私たち人類は大変幸運に恵まれていると言え、一生の間に一度は見ておきたい現象です。2021年は皆既日食が、地球最後の秘境である南極で見ることができます。弊社では、南極海上の船上にて観測ができるクルーズをご用意しました。2021年南極での皆既日食観測はとても貴重な体験となります。この機会に是非ご参加くださいますよう案内いたします。図1は、2021年の皆既日食が見られる地域が示されています。ピンク色の細長い範囲が、太陽の光が完全に隠される場所、つまり月の本影が通過する皆既帯です。皆既帯は、南大西洋のフォークランド諸島とサウスジョージア島の中間の海上で地球に接しはじめ、サウスオークニー諸島を通ってウェッデル海を南下し、ロンネ棚氷を経て南極大陸に進み、ユニオン・グレーシャー・ベースキャンプを通って西進し、アムンゼン海に出て地球から離れます。皆既日食の壮大な光景を眺めるには、2021年12月4日にこの幅400km強の皆既帯のどこかの地点に入っている必要がります。しかし、アクセスが容易でない南極周辺で、皆既日食が見られる場所は限られ、サウスオークニー諸島からウェッデル海にかけての海上と南極大陸のユニオン・グレーシャー・ベースキャンプの周辺くらいとなります。では、これらの場所では、日食がどのように見えるかを説明します。まず、サウスオークニー諸島とロンネ棚氷の中間のウェッデル海上の皆既帯の中心では、日食は図2のように進行します。太陽は世界時で6時30分ごろかけ始め、7時20分ごろ太陽が完全に隠されコロナが見え始めます。7時22分ごろに月の背後から太陽の光が再び姿を現して皆既が終わります。8時14分ごろ太陽の前から月が去って丸い太陽に戻ります。月が完全に太陽を覆っている時間(皆既継続時間)は約1分52秒で、太陽高度は約18度です。皆既時の太陽高度は15前後と低いですが、空気が澄んでいる南極では雲に遮られなければコロナを鮮明に見るには十分な高度です。太陽高度が低いということは、双眼鏡などでコロナを眺める際に姿勢が楽になます。また、地上の景色と一緒にコロナを撮影する際には構図を決めやすくなるなどのメリットもあります。皆既日食とは?2021年12月4日の皆既日食の概要と特徴

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