南極・北極旅行&クルーズ 株式会社クルーズライフ

みんなの探検旅行~ブログ~
2018.12.19

【スタッフレポート】フォークランド諸島、サウスジョージア島、南極半島20日間

クルーズライフの「日本人通訳兼ナチュラリストガイド」として乗船している、保阪瑠璃子より2018年11月15日~12月3日のフォークランド諸島、サウスジョージア島、南極半島20日間コースのレポートが届きました。

 

南極半島のワイルドライフ繁殖シーズンには少し早いかなと思われる時期でも温帯のフォークランドや亜南極のサウスジョージアでは繁殖シーズンたけなわです。短期間の南極半島クルーズでは見られない多彩なカメラチャンスがあった素晴らしいエクスペディションでした。

ペンギン7種、オットセイ・アザラシ類6種、クジラ・イルカ類6種そして優雅な5種類のアホウドリを含むたくさんの海鳥が見られた18泊コースでした。各地では風などの天候が許す限り、毎日午前・午後の2回船外活動があります。また、夕食前の30分に行われるリキャップ(今日のまとめ)とブリーフィング(明日の予定解説)はガイドブックには出ていない様々な最新情報が聞けるチャンスです。ぜひ出席しましょう。

 

 

●フォークランド諸島(英国海外領土) 2日間

ウシュアイア出航後中、一日置いた3日目にフォークランド諸島西島群に着きました。私たちの訪れたカーカス島と隣のウエストポイント島では岸に向かうゾーディアックをイロワケイルカやミナミカマイルカが出迎えてくれることがあります。青い空、白砂海岸とイネ科のタソック草の緑が美しいカーカス島には小さなセジマタヒバリから赤い胸がきれいなオナガマキバドリまで陸鳥も多いうえに、土中に作る巣の補修に忙しいマゼランペンギン、そしてゼンツーペンギンもここでは暖かい太陽を浴びて幾分大きくて健康そうです。マゼランガンのかわいいヒナも見られました。浜辺で見たオットセイの死骸に群がるオオフルマカモメ、ヒメコンドル、カラカラ類の戦いでは自然界の厳しさを知りました。

地形の少し異なるウエストポイント島では島の反対側の「悪魔の鼻」と呼ばれる断崖上の斜面に巣を構えるマユグロアホウドリと赤い眼と黄色いパンクファッションのイワトビペンギン混在の繁殖状況を見ました。頭のすぐ上をかすめて離着陸するアホウドリを写すのはなかなか難しいですね。帰りに英国式紅茶とケーキをいただいた際に同島管理人のアランさんから、サウスジョージア島で使われたドブネズミ駆除用毒餌の余りを使って進めているネズミ駆除の話を聞きましたが、小鳥のピィピィという声が増えて成果が上がっていることを実感しました。カメラ好きなお客様から「出発前にクルーズライフの方から予想の5倍は写真を撮ることになりますよ、と言われたが本当ですね。」との感想をいただきました。ポートスタンレーは風速40ノットのため残念ながら次の目的地であるサウスジョージア島に向かいました。

 

 

 

 

●サウスジョージア島(英国海外領土) 4日間

サウスジョージア島到着前に南極海と外海との水の境界線である、南極収束線(南極極前線)を横切り、島に近づくにつれ、マダラフルマカモメに加えて、サウスジョージア島で繁殖するオオフルマカモメ、マユグロアホウドリからハイガシラアホウドリ、そして最大のワタリアホウドリも増えてきました。船内売店で買える写真入りカタログを参照して写した鳥の名前を特定できます。このようなときは船内の様々な南極講座を聞くか、それとも外甲板でアホウドリ写真をねらうか悩むところです。サウスジョージア到着前日の昼頃には水深千メートルから突然突き出ているシャグロックにキバナウのサウスジョージア亜種が岩肌に鈴なりになって子育てをしている様が見えました。そのころ最初の氷山も見えました。例年よりずいぶん北で見られたのに驚きました。

サウスジョージア島もそのさらに南東に連なるサウスサンドイッチ諸島と共に英国海外領土です。しかし、それも南緯60度以南の南極条約も政治的な境界線であって、生態学的には何れも、南極からの低温・低塩の表面海流が北から流れてくる若干高温・高塩の海流の下に潜り込む南極収束線のすぐ南側にあり、南極生物体系に含まれます。南大西洋の宝石箱という別名がある様にオニコンブに囲まれた島々には繁殖中のワイルドライフがあふれています。だから私たちも空港がなく、船でしかいけないサウスジョージア島をあえて訪れるのです。今回訪れたのは島の北から順に次のような所でした。

 

・サルスベリー・プレイン(上陸)

同島第2の大規模なキングペンギン繁殖地で色々な成長段階の雛と換羽中の親鳥そしてそれらを狙うトウゾクカモメ。砂浜のあちこちにいる若いオットセイに噛みつかれないよう常に注意が必要。

 

 

・ポゼション・ベイ(遊覧)

ジェームス・クックが1775年に上陸し英国領有宣言をした所。美しい縞模様の堆積層。

 

・ストロムネス・ハーバー(上陸)

旧捕鯨基地近くの砂浜で縄張りを守りながら雌を待つ雄のナンキョクオットセイと10月に生まれたばかりのミナミゾウアザラシの子供達をかき分けて氷河谷に出ました。元気な方はアーネスト・シャクルトン等3名が助けを求めて降りて来た滝までのハイキング(往復2時間位)も楽しみました。シャクルトンが目印にした、大きく褶曲した堆積岩層も変わらず湾の入り口に見えました。

 

・グリトヴィケン(上陸)

きれいに整頓された旧捕鯨基地とその墓地に眠るアーネスト・シャクルトンと副官のフランク・ワイルドの墓をめぐる気持ちの良いハイキング、そして郵便と買い物のチャンスもありました。博物館は必見。近くには英国政府の出張所もあり、マゼランアイナメ(銀ムツ)などの入漁料徴収や漁業監督官も出入りしています。今年5月にはトナカイとドブネズミ駆除作戦完了宣言を行った、外来動植物駆除努力の話も聞けました。

 

・ゴッド・フル(遊覧)

待望のハイイロアホウドリの巣を見つけました。ナンキョクアジサシとミナミオオセグロカモメの若鳥が成鳥と同じ羽色になるには2~3年かかります。島を取り巻く海中にはオニコンブが30㍍以上の深さからびっしり生えていて、その間を泳ぐオットセイはとても気持ちよさそうです。突然海中から顔を出した大きな鼻のミナミゾウアザラシの雄は来年も再びハーレムのビーチマスターになれるのでしょうか?それとも若手に地位を追い落とされるのでしょうか?

次の場所への移動中にザトウクジラ親子も見えました。サウスジョージア海域のクジラ類の数が回復傾向にあるように思います。

 

 

・セント・アンドリュース湾(遊覧と上陸)

いつもと違って、寄せ波もなく驚くほど静かな上陸でした。同島最大の15万番(つがい)を超えるキングペンギン繁殖地が氷河の運んだ終堆積平原に広がっています。背後の丘からは青い空、タソック草の緑の間に見える無数のペンギン、そしてハーレムシーズンが終わったミナミゾウアザラシの老若が砂浜を占領しているのが見えました。キングペンギンの繁殖活動は14か月もかかるので、双眼鏡でよく見ると換羽中、婚活中、交尾中、抱卵中、そして巣立ち間際など様々な段階を見る事が出来ます。

  

 

・クーパー湾(遊覧)

は島の南端にある湾でヒゲ、マカロニ、ゼンツーの3種ペンギンの抱卵中そして多彩な小海鳥類が観察できました。

ドリガルスキー・フィヨルド(本船遊覧)にはゴンドワナ超大陸まで遡る断崖に巣を作っていると思われる、南極のアイドル、真っ白なユキドリが舞うのが見られました。次は南極です。明日中には南極条約が定める南緯60度以南に入る見込みです。

 

 

 

●サウス・オークニー諸島(ローリー島のオルカダ基地上陸と遊覧) 南極条約範囲内

従来はシャクルトン隊いわれのエレファント島をかすめる程度(ほとんど上陸条件が整ったことなし)の事が多かったのですが、今回はサウス・オークニー諸島内ローリー島西部にあって、1902年スコシア号探検から続く南極最長寿基地オルカダ訪問とモスマン岬周辺のヒゲペンギン、アデリーペンギンの大規模コロニーをゾディアック遊覧できて嬉しい驚きでした。ここはウェッデル海の渦巻き海流に乘って流氷が押し寄せることが多いのでいつも上陸できるとは限りませんが、驚くほどの数の両種ペンギンが繁殖しているのをボートから見る事が出来、周辺にはヒョウアザラシや海の禿鷹の別名を持つオオフルマカモメもいて、ペンギンには気の毒でしたがアクションシーンも見られました。

       

 

 

●南極半島部分

・キネス・コブ(遊覧)ジョンビル島

南極半島北端のアンタークティック・サウンドに差し掛かった早朝、30+のシャチの群れ出現のアナウンスがモーニングコールでした。南極に到着したばかりらしく、エコタイプBの特徴である白い大きなアイパッチもまだ黄色くなっていませんでした。船の下をくぐったりしてしばし遊んでくれました。キネス・コブのアデリーも抱卵中であり、孵化はあと10日くらいでしょうか? 抱卵中のコロニーは驚くほど静かです。

 

・ブラウン・ブラフ(遊覧と上陸)

岸に吹き寄せられた流氷のためゾーディアックが岸に近づけないので沖合の青い氷山や氷上のアデリーペンギンを見ることにしました。その後座礁した氷山の間をすり抜けて何とか上陸できる場所を見つけて10分のみ交代で南極大陸に上陸し、親鳥が時々背伸びをした時に抱卵嚢にある2卵を写真に収める事が出来ました。

 

・ミケルソン・ハーバー(上陸)

トリニティ島南端のミケルソン・ハーバーに浮かぶ小島ダニュー島は捕鯨初期に使われた場所ですが、当時のクジラ骨はまだ1.5mほどの積雪の下に埋もれていました。3種のペンギン中で最も遅く繁殖地に来るゼンツーペンギンは、経験ある熟年番(つがい)が早めに来て雪の少ない場所ですでに抱卵しています。若い番の群れは後発組で足元の雪が融けるのを待ちながらで婚活たけなわで、交尾シーンがあちこちで見られました。ウェッデルアザラシの親子も雪の上でシンセサイザー音楽のような寝言を言っていました。美味しい魚を捕まえた夢でも見ていたのかもしれません。

 

・シェルヴァ・コヴ(遊覧)

アルゼンチンの春基地と大きな氷河が流れ込みザトウクジラを見られる可能性が高いところでもありますが、予想通り2~3頭ずつの2組を見る事が出来ました。私たちのゾディアックの数m先迄寄って来てブォーと言う迫力満点の噴気音が聞けました。ここ数年来、シーズン初期でも確実に見られるようになったのは数が増加しつつあるからかもしれません。夕方帰船してからのポーラープランジ(南極飛び込み大会)中には物見高いザトウクジラが私たちの騒ぐのを見物に近寄ってきました。

 

・ハーフムーン島(上陸と遊覧)

サウスシェトランド諸島の中ほど、リビングストン島の陰に隠れた小さなハーフムーン島でヒゲペンギンの抱卵中を観察しました。ここでもザトウクジラの親子と遭遇できました。

 

        

 

ドレーク海峡に接近中の大低気圧をかわすために半日早く北上することとなりました。乗客の皆様は既に船に慣れてきたためか、それほどの揺れとは感じなかったようです。

 

 

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