※このページはヘリテージ社(Heritage Expeditions)の資料より日本語に訳して公開しています。

 

この地域は北太平洋で重要な部分を占めますが、素晴らしい歴史や人々についてはあまり知られていません。ある意味で、冷戦の間、ソビエト連邦の秘密の1つとなっていました。そこは立入禁止で、西洋人やロシアの人々でさえ訪れるのに特別な許可を得なければなりませんでした。国家に対する犯罪で告発された多くのロシア人がここに抑留されました。悪名高い強制収容所として知られ、ほとんどの政治犯が命を落としました。政治的、地理的に隔絶されたことで、地域の素晴らしい遺産つまり自然が保護されました。

訪問者はこれらの地域の自然や野生動物、海に迎えられます。手付かずのタイガ(針葉樹林)やツンドラの大地が見渡す限り広がり、カムチャッカ地域の火山が地平線を覆い、沖合の島々にはアザラシが生息し鳥類が繁殖しています。

ソビエト政権のもとで、先住民は異なった生活様式や気候、文化にそぐわないことを強いられましたが、現在は、新しいロシア連邦で正当な立場を得ています。私たちが共有する探検や情報で、この素晴らしい地域への関心を持たれるでしょう。

 
ロシア極東(THE RUSSIAN FAR EAST)

ロシア極東は極東連邦地区に属し、9つのロシア連邦地区の中の1つで、ロシア全土の36.4%、総人口の4.6%を占めます。ロシア極東探検クルーズでは以下から3地区を訪れます。

●サハリン州 Sakhalin Oblast

●カムチャッカ地区 Kamchatka Krai

‐コリャーク管区 Koryak Autonomous Okrug

●チュクチ自治管区 Chukotka Autonomous Okrug

 

定義

ロシア語の「округ」オークルグ(okrug)は地区、管区などと訳され、ソ連時代の初期に「州」オーブラスチ(oblast)や「地方」クライ(krai)などの下にあった地域区分です。ロシア連邦大統領が全国を7つの地区に分けて監督する「連邦管区」も「Федеральныйокруг」とオークルグの名が付きます。

 

 

サハリン州(SAKHALIN OBLAST)

サハリン州の総面積は87,100km²で、サハリン島と千島列島が含まれます。サハリン島は、ロシアで最も大きな島で、面積は76,400km²です。長さ948km、幅は一番広い所で160km、一番狭い所で26kmです。

千島列島は、面積が15,600km²で、南北に1,200km伸びており、30以上の島々や多くの小島や岩盤から成り立っています。サハリン州には17の地方があり、3つが千島列島にあります。

サハリンの海の気候は、本島のハバロフスク地方と比べて温暖で雨が多く、平均気温は1月の-30℃から7月の15℃です。南部の春は、北部と比較して1か月早く到来します。

夏は8月を除いて涼しく、6月と7月は霧に覆われる事が多く、秋はハリケーンのような強い台風がきます。11月から3月までは降雪が多く、最北部の地域では、50cm、南部の地域で70cm、東部で100cmの降雪があります。

千島列島はモンスーンの影響をほとんど受けませんが、急激な天候の変化があります。冬は温暖で夏は涼しいです。オホーツク海は5月下旬まで、1年の内の6か月間、氷に覆われています。サハリン島の4分の3は山で最高峰は標高1,609mのロパーチン山です。

サハリン島の3分の2は森で、北から南まで変化に富んでいます。北はグイマツの森に覆われています。中央部にはソ連エゾ松(現地名はエリアンスカヤ/Ayan Spruce)の最も広い地域とサハリン・モミの森があります。

島の南半分は20世紀前半、日本統治時代に樹木の伐採と山火事により南の森は深刻な被害を受けました。結果として、大部分は小さな葉の森やイシカバ(Stone Birch)で覆われています。テルぺニア(Terpeniya)湾の海岸線に沿った北西海岸と北東海岸、アニワ湾の南は、湿地帯が広がっています。

千島列島は一連の火山で海峡によって分かれています。これらの火山のうち39は活火山で、最高峰は、国後島にある標高1,819mの爺爺岳(ちゃちゃだけ)と阿頼度島(あらいどとう/アトラソフ島)にある標高2,339mの阿頼度島山(あらいどざん)です。広範な針葉樹森が千島列島南部の55%を覆っています。

南には竹も生えています。択捉島のほとんどはカラマツの森で覆われています。一方、得撫島と色丹島はストーンバーチの森が占めています。日本カサマツは、色丹島を除くすべての島の標高の高い場所に生育しています。北ではハンの低木が見られ、諸島の中央部はたいていツンドラで沿岸部は牧草地です。

 

動植物(Flora and Fauna)

サハリンは、地理的に冷たいオホーツク海と暖かい日本海と太平洋から近いためユニークな植生の寄せ集めになっています。

かつてのソビエト連邦の哺乳動物種の27%、鳥類の43%、クジラ類の94%が生息、もしくは州を回遊しています。45の固有種や多くの珍しい種を含む1,570種の植物相があります。サハリンには371種の鳥類が繁殖しています。

 

居留区(Population Center)

サハリンの人口の85%以上が町に住んでいます。ユジノサハリンスクは、1905年から1945年まで日本政府の統治下にありましたが、現在はサハリンの行政の中心地です。ホルムスクは重要な港町で、漁船団や魚加工産業、造船や修理の中心で、食物産業の企業と2つの廃れたパルプ/製紙工場があります。

コルサコフは国際港でサハリン最大の漁業の中心都市です。また、沖合の石油プロジェクトの拡大で重要性が増すことが期待されています。

 

政治的立場(Political Status)

サハリンの南半分は1905年から1945年まで日本の統治下にありました。また、サハリンの北半分は1920年から1925年までは、占領下にありました。1947年にサハリン州は、ハバロフスク地方から独立しました。

千島列島は1875年に日本に譲渡され、1945年にロシアによって表面上は解放されましたが、1951年に日本とロシアの間で作成された平和条約が未締結のため、断続的に交渉は行われていますが千島列島の問題は未解決のままです。

 

天然資源(Natural Resources)

サハリンの資源は魚、材木、石油、ガス、石炭や他の鉱物です。千島海盆とオホーツク海は世界有数の漁場の1つです。オホーツク海の沖の石油埋蔵量は、石油は10憶トンで、ガスは3兆6,000億m³と推定されます。沖合の石油とガスの埋蔵量の60から70%は枯渇しています。木材の蓄えは合計6億165万5,000m³で、そのうち2億747万m³は商業伐採に適しています。長年生産を支えた60以上の中規模の石炭鉱床がありますが、採掘費用は高くなりつつあります。

 

 

カムチャッカ地方(KAMCHATKA KRAI)

カムチャッカ地方は、カムチャッカ州下部とコリャーク管区から成っていますが、カムチャッカ州とコリャーク管区は2007年7月に合併し、カムチャッカ地方を形成しました。

 

カムチャッカ州(Kamchatka Oblast)

カムチャッカ地方はカムチャッカ半島の南部地域を構成し、行政の領土にコマンドルスキー諸島が含まれています。

太平洋とオホーツク海の影響により、カムチャッカの気候はロシア極東の大陸よりも温暖です。一般的に冬は長く、雪が多いです。夏は短く、涼しく、雨が多く、霧が濃く、気圧の急な変化がよくあります。

 

地理と生態(Geography and Ecology)

カムチャッカには29の活火山、186の間欠泉、多くの沸騰した泥の大釜、蒸気通気口、噴気孔や火山活動の他の形態があります。カムチャッカ半島の東側の間欠泉の渓谷には、約200の間欠泉があり、アメリカのイエローストーン国立公園に次いで2番目の規模です。

緯度や長い太陽の海岸線の影響を受け、湿地帯、石の多い荒地、溶岩原、海岸砂、ツンドラが景色の特徴です。北には、日本カラマツやハンの低木が海岸線に伸びています。まばらなストーンバーチの森は、典型的なカムチャッカの景観を作り出しています。

カムチャッカの最も貴重な森林はカムチャッカ川渓谷の中心にあります。概して、カムチャッカの自然環境はロシア全土の中で最も手付かずに残っている場所の1つです。

州には43種の哺乳類が生息していて、その中の31種は海生哺乳類です。8種類のアザラシ、1種類のラッコと22種のクジラが生息しています。240種類の鳥、3種類のコウモリ、2種類の両生類が生息しています。その他に約40種の鳥類、12種のクジラ、2種類の陸生の哺乳類が絶滅の危機にさらされています。カムチャッカは、世界で最もヒグマの生息数が多い場所の1つで、少なくとも7,650頭が生息しています。カムチャッカ半島は世界で最も豊富なサーモン漁場の1つで、川は太平洋サケの産卵場所で、世界の4分の1ほどの太平洋サーモンが手付かずの川で産卵します。カムチャッカ蟹は北東海岸沖の海域で繁殖しています。世界のオオワシの50%以上が半島で繁殖しています。

ペトロパブロフスク・カムチャッキーは、行政の中心で、ロシア極東の漁業産業の拠点です。エリソヴォの近くにカムチャッカ国際空港(エリソヴォ空港)があります。人口は経済的衰退のため減少しています。かつて高収入で好条件の仕事のためカムチャッカに来たロシア人とウクライナ人は、現在、ヨーロッパ・ロシアに戻っています。

 

天然資源(Natural Resources)

カムチャッカには金、銀、プラチナ、ニッケルや他の鉱物資源がかなり埋蔵されています。石炭や褐炭の埋蔵量の合計は2億7,300万トンです。西カムチャッカには、16の天然ガス田があり、700億m³のガスの埋蔵量があります。カムチャッカに隣接したオホーツク大陸棚のガス埋蔵量は、7,320億m³と推定されています。最近、3億6,000万トンの埋蔵量の油田もまたここで発見されました。また、カムチャッカ川やその周辺海域は、世界有数の漁場です。

 

 

コリャーク管区(Koryak Autonomous Okrug)

コリャーク管区は、カムチャッカ半島の北部の3分の2を占め、本島に隣接したいくつかの島々があり、一番大きな島はカラギンスキー島です。総面積は301,500km²で、アメリカのアリゾナぐらいのサイズです。亜北極に位置するコリャーク管区の気候は、オホーツク海と北太平洋の影響で温暖です。

1月の平均気温は約-25℃で、7月の平均気温は10~14℃です。この地域の年間降水量の平均は、300~700mmです。北の内陸部は、大陸性気候で乾燥しています。オホーツク海沿岸地域は、太平洋沿岸地域と比べて冬は寒く、夏は涼しいです。

 

動植物(Flora and Fauna)

コリャーク管区の植生は、不毛の高山からグイマツの森林、海岸の牧草地、ケショウヤナギの河畔林まで大きく変わります。最も幅広い種類の植生は、日本カラマツの木立と一緒に見られる亜北極のツンドラや低木などの木々です。

オホーツク海とベーリング海沿岸には、セイウチやトド、キタオットセイ、アザラシなど多くの海生哺乳類が生息しています。オホーツク海と太平洋の大陸棚は、特にカムチャッカ蟹の豊かな漁場です。川は太平洋サーモンのほとんどの種の産卵場所になっています。森とツンドラに生息する動物は、クロテン、クズリ、カワウソ、ヨーロッパオオヤマネコ、アカギツネ、アメリカミンク、ハイイロオオカミやヒグマなどです。

 

 

居留区(Population Centre)

最も大きな町はオソラ(Ossora)で、コリャーク管区で最も人口が多く経済的に発展しているカラガンスキー地区の中心です。

2001年時点で、コリャークには29,100人が住んでいて、3分の1がコリャーク人、イテリメン人、チュクチ人、エヴェン人などの先住民族です。1991年のピーク時の人口は40,000人でしたが、現在では30,000人以下に減少しています。

 

天然資源(Natural Resources)

コリャーク管区の主な資源は、太平洋サーモン、ホワイトフィッシュ、ニシン、スケトウダラ、マダラやカニなど貴重な魚製品とプラチナ、金、銀などの金属、他の鉱物として水銀、アンチモン、ヒ素、硫黄、石炭、石灰岩やスズです。

石炭は品質があまり良くないため地元用として使用しています。森林資源や商業開発はごく僅かで、伝統的なトナカイの遊牧、狩猟や漁業などは、商業的に可能ではありません。限られた石油の埋蔵はオホーツク大陸棚のコリャーク管内で発見されましたが、完全には調査されてない状況です。

 

 

チュクチ自治管区(CHUKOTSKY AUTONOMOUS OKRUG)

チュクチは、ロシア連邦の89の管区の1つです。正式な名前は、チュクチ自治管区です。北東ロシアの広大な地域を占め、5万人が住んでいます。チュクチ自治管区は737,000km²で、アラスカの半分の大きさです。ロシアでは6番目に大きな自治区で、チュクチは8つのエリアに分かれています。

地理情報

チュクチ自治管区は、幅1,400km以上です。西端は、シベリアのコリマ川で、東端はベーリング海峡です。北の海岸線は、北極海を見渡し、南の境界線はコリャーク高地です。

 

最高高度(Max Altitude)

最高峰はDvukh Tsirkov山で、標高1,853mです。

 

地形的特性(Physical Features)

チュクチ自治管区は、とても山の多い地域です。コリマチュクチ山脈は、アニュイ高地とチュクチ高地の北側にあります。アニュイ山脈は、大きなアニュイ川流域にあり、この地域で最近形成された火山がある唯一の地帯です。

オホーツクチュクチ範囲は、アナディリ山とチュクチ高地の南側です。標高の高い山々は、徐々に山麓の丘や平原に移行していて、一般的な標高は、約1,600~1,800mです。

アナディリ・コリャークの範囲はチュクチの南東です。重要な部分は、コリャーク山脈が占め、低地によって分けられた尾根があり、標高は約1,500mです。

アニュイ低地は、大アニュイ川と小アニュイ川の広がりにあります。KhetagenとYarovayaは、穏やかに起伏のある平原と湿地帯を形成し、さまざまな大きさの湖が多数あります。

Chaun低地は、標高が約200mで、ツンドラのゆるやかな傾斜の平原を構成しています。このことからユニークで、他の国々では見ることができない多くの種がここで見られます。また、ハシジロアビやヘラシギなどたくさんの種が危機にさらされています。ごく僅かの種のみがここで冬を過ごし、多くはチュクチの海岸の重要な生息地である海域に回遊します。

ハシブトウミガラス、ツノメドリ、エトピリカ、ウミオウム、エトロフウミスズメなどたくさんの種がいます。毎年、地元の人々は、鳥の営巣地からたくさんの卵を集めています。

チュクチを囲むベーリング海と東シベリア海&チュクチ海の影響を受け、チュクチの天気は変わりやすく、すぐに南西の強風に変わり、強い冷たい北風が吹きます。

サイクロンもしばしば発生します。沿岸地方は、年に平均150日は、強風の日があります。年間平均降水量は、200~400mmです。ナバリン岬(Cape Navarin)は、ロシアで最もハリケーンや嵐の発生率が高い場所です。1年のほとんどの期間、周辺の海域は氷に覆われています。

1月の平均気温は、-15℃~-35℃で、7月の平均気温は5℃~14℃です。

地方は山が多く、チュクチの大きな川はアナディリ川、オモロン川と大・小アニュイ川で半島の西側の標高1,800mの山から流れ出ています。

アナディリ川は、アニュイ山脈(Anyui mountains)南東に発し、アナディリ高原を南西に流れ、途中で大きく東に向きを変え、湿地帯からなる広大なアナディリ低地に出てアナディリ湾とベーリング海に注ぎます。

オモロン川は、ロシアのシベリア北東部を流れる川で、コリマ川最大の支流で、マガダン州のオホーツク海沿岸の山地から発し、主にマガダン州とサハ共和国を流れますが、最下流部でチュクチ自治管区内に入りコリマ川に合流します。川の水は北極海の一部である東シベリア海へと流れ込みます。

小アニュイ川と大アニュイ川は北に流れ、他の平原や沼地の低地を通り、コリマ川に注ぐ前にサハ共和国との境界線を越えます。

3番目に主要な低地地帯は、ちょうどチュアン(Chaun)入り江の南で、多くの小さな川が北の湾に流れています。西で見られるような山ほど高くはありませんが、山々がチュクチの中央や東側に聳え立っています。

北太平洋と大西洋の潮流は、ベーリング海峡でまじりあいます。ナバリン岬(Cape Navarin)の南東からアナディリ湾までの北に流れる海流と海峡の西側を通る海流は、たくさんの植物性プランクトンや動物性プランクトンを作る多くの栄養素を運び、世界で最も豊かな海域の1つとなっています。

チュクチは、4つの植生地帯に分けられます。北極圏ツンドラ、亜北極ツンドラ、ツンドラ森林と北方林です。北極圏ツンドラは、ウランゲリ島、近くの島々、コリマ川と東のコリューチンスカヤ湾(Kolyuchinskaya)の間の海岸線を含む冷たい北極海の影響を受けています。

西アラスカと似た植生は、主に苔、地衣類や小さな低木で地方の半分が覆われています。ウランゲリ島は、特に多様な固有種、アメリカ種、ステップ種の植物相を持っています。

亜北極ツンドラには、高い木々、地衣類の草原があり、チュクチの広い範囲に分布しています。南西に向けて徐々にツンドラの森林地帯に変わり、広域のアナディリ盆地の水辺の森にも広がっています。

 

動植物(Flora and Fauna)

チュクチ自治管区は、古代ベーリング地方(ベーリング海峡のアメリカとロシア側両方の陸と水生植物の生態系)の一部です。「陸の橋」は、チュクチでユニークな植物の群落を作っていました。氷河期や間氷期の間、地域は種形成の温床でした。

チュクチには、世界の96の固有種の極地維管束植物の48%があり、全部で、900種以上の維管束植物、約400のコケ類、400種の地衣類があります。

動物相は、220の鳥類、59の哺乳類、そのうち37種は陸生動物で22種はクジラ類とアシカ類などと多様です。コククジラ、ホッキョククジラ、ザトウクジラ、ナガスクジラ、イワシクジラ、ミンククジラ、シロナガスクジラ、シロイルカ、シャチなど9種類のクジラが見られます。

 

ホッキョクグマのほぼ80%がベーリング海やチュクチ海で繁殖し、ウランゲリ島かゲラリト島(ヘラルド島)で出産します。世界のタイヘイヨウセイウチの約半分が、海岸線に沿って営巣地を作っています。

オットセイ、ゼニガタアザラシ、ゴマフアザラシはベーリング海の南部に生息しています。クラカケアザラシ、ワモンアザラシ、アゴヒゲアザラシ、ゴマフアザラシは、もっと北の海域に生息しています。絶滅の危機にあるトドもベーリング海の西に生息しています。

 

 

居留区(Population Centre)

アナディリは、チュクチ自治管区の首都で行政の中心都市です。1930年代に創設されたペベクは、北極線上位置し、ロシア最北の都市です。ロシア極東で唯一原子力発電所のあるビリビノは、金の採掘地です。

チュクチの人口は、産業の衰退と政府の補助金がなくなったため、急激に減少しています。住民の72%は都市部に住んでいて、たいていの人は移民で、ソビエト政府が提供した特典や高収入の仕事のためこの地にやって来ました。

 

チュクチ自治管区には、約17,000人の先住民族が住んでいて、たいてい、チュクチ人やユカギール人、ユピックエスキモー人、コリャーク人、エヴェン人です。

1930年にソビエト連邦がチュクチ自治管区を作りましたが、歴史上は近隣の行政区に支配されていました。1951年までカムチャッカ州の管轄下にあり、1951年から1953年までは、ハバロフスク地方に、1953年から1993年までマガダンの管轄下にありました。ロシアの憲法裁判所が法律的に分離を許可し、自治が認められました。そして、2001年には、新興財閥で億万長者のロマン・アブラモヴィッチが選挙で知事に当選し、就任しました。

 

天然資源(Natural Resources)

チュクチは、ロシアで金の埋蔵量が2番目で、他にスズ、水銀、石炭、銅、タングステン、銀などたくさんの鉱物資源があります。

海の資源は、タラが豊富ですが、漁業活動が活発でないためサーモンの漁獲量が減少し、1940年代の50~75%と推定されています。最近、陸上と沖合で石油とガスの埋蔵が発見されました。