ゴースハムナ(Gåshamna)
北緯76°94’東経15°86′

ガンの湾と言う意味のゴースハムナはホルンスンフィヨルドの入り口近く南岸にある比較的広い湾です。

氷河が退いた平地に毎年夏になると雪解け水の新しい川筋ができます。そのため植物は少なく、また砂利と岩肌の見える地形に歴史的意義のある捕鯨基地跡、ロシアとノルウェー人による罠猟時代の越冬小屋跡、さらに初期の北極科学観測小屋跡などが見られます。

最も古い活動は捕鯨時代初期(16~17世紀)の頃、毎年夏に行われていたホッキョククジラ漁で、スヴァールバル海域の同種は絶滅してしまいました。現在でも鯨油かまど跡、宿舎跡、墓地などが見られます。

建物跡の間には鯨やセイウチの骨、捕鯨砲、焼物の土管やつぼなどが散在しています。当時、スヴァールバルで50か所ほどあった捕鯨基地の中でもここは初期のもので、すべて浜辺で処理していました。扇状地の両端に2つの基地跡が見えます。いずれも1618~1650年の間、イギリスがホルンスンの領有を主張していた頃のものです。

 

ゴースハムナ/上陸観光

東側の基地跡近くには鯨油かまどと丘の上の墓地が分かります。ここではハイキングが可能です。

特にゴス氷河終堆積までのコースは永久凍土帯によく見られる構造土や高山植物も見られるでしょう。西側の捕鯨基地跡には大掛かりなロシアの罠猟基地が建てられました。さらにその後、アイザック・ニュートンが1687年に指摘した「地球は南北の直系よりも東西の直系の方が長い:地球は完全な球形より少し平たい」事を検証するべく1899~1900年にスウェーデン・ロシア子午線探検が行われ、ロシア隊はゴースハムナに越冬しました。

建物は完全に崩壊していますが、罠猟基地とその倉庫に使われていた天文台は現存しています。同じ場所は20世紀初頭から1930年代までノルウェー罠猟基地として使われました。西側捕鯨基地跡から後退が激しいゴス氷河が作り出した終堆積まで気持ちの良いハイキングがお勧めです。丘の上からの眺めは思い出に残るでしょう。

 

 

ブレポーレン(Brepollen)
北緯76°99’東経16°35′

ホルンスンの最東端に位置し、氷河の前面が7kmにわたる、ほぼ完全に氷河に囲まれているのが、ブレポーレン(氷河湾)です。ここは、高い山々に囲まれ、眩しい氷河が散在した素晴らしい風景になっています。

 

プレポーレン

ブレポーレンの湾は、スヴァールバルへ比較的新しく追加された、20世紀になって誕生した場所です。1900年、この場所は、湾全体とその先まで1つの大きな氷河で覆われていました。それから現在の状態へ後退しています。1983~1999年の間には、氷河が5kmも後退しています。

 

アゴヒゲアザラシ

湾内に漂う氷の上にはアゴヒゲアザラシなども見られる可能性の高い場所です。

 

 

ブルガーブクタ(Burgerbukta)
北緯77°04’東経15°95′

ホルンスンの中ほどの北岸に切り込んだブルガーブクタは奥が東西の二手に枝分かれしていて、いずれも幅2kmほどの壮大な氷河が流れ込んでいます。名前は1872年にノヴァヤゼムリヤ島やスピッツベルゲンを探検したオーストリア・ハンガリー帝国探検隊のウィルチェックがこの湾の測量を行った同隊のウィルヘルム・ブルガー(画家兼カメラマン)にちなんでつけられました。

 

ブルガーブクタ/ゾディアッククルーズ

時々崩落してできる青い氷山や砕氷がぶつかり合う音や、氷が融けて解放された気泡が水面ではじける時のピチピチと鳴る音を聞くことでしょう。天気が良ければフィヨルドの対岸にそびえるホルンスン山(約1,400m)の雄姿が望めるでしょう。

 

ヒメウミスズメ

その他、湾を取り巻く切り立った断崖ではフルマカモメ、ミツユビカモメ、ハシブトウミガラス、そして急斜面の瓦礫の間ではヒメウミスズメが繁殖活動をしています。

 

 

イスビョルンハムナ(Isbjørnhamna)
北緯77°東経15°33′

ホルンスンの出口近くの北岸にあるイスビョルンハムナはフィヨルド内において、最良の港でもあります。国際地球観測(1957年)以来ポーランドがスヴァールバル唯一の野外基地で通年観測しており、彼らは誰よりもこのフィヨルドのことをよく知っています。

 

イスビョルンハムナ/上陸観光

通常の観測活動以外にも要員の交代や冬に備えた準備などもしなければならないため、時間に十分余裕をもって訪問希望をする必要があります。