ベルスン(Bellsund)

ベルスンは長さ20kmほどの入り江ですがその先に、80km以上も内陸に入り込んでいるヴァン・ミエン・フィヨルドとヴァン・キューレン・フィヨルド、そして入り口近くにある短いレチャーシェ・フィヨルドの3つのフィヨルドの出口合流部分を成しています。

入り口近く南岸に見える釣鐘状の形をした山クロッケフェッレからその名が付きました。北のヴァン・ミメン・フィヨルドの北岸地帯はノルデンショルド・ランド国立公園となり、南のヴァン・キューレン・フィヨルドの南岸は南スピッツベルゲン国立公園となっています。

 

ベルスン

高い山の峰々の間を埋めたいくつもの氷河がゆっくりとU字型の氷河谷を流れて海に届いています。

また長さ20kmのベルスンを大きく2つに分断するネーソース・ランドの山岳地帯。ミッデレフクフィエッレは、標高782mの山で、フィヨルドの真ん中に位置することから名づけられました。この場所には、見た目が印象的な地質や鳥類の営巣地、豊かなツンドラがあります。

 

 

ヴァルソルブクタ (Varsolbukta)
北緯77°76’東経14°32′

ヴァルソルブクタは、スピッツベルゲン島で3番目に長いヴァン・ミエン・フィヨルドの入り口近くの浅い湾です。1914年ノルウェーのスヴァールバル探検隊が使った沿岸警備艇ヴァルソル号の名前が付けられました。荒々しい山々と美しい景色が圧倒的です。

 

ヴァルソルブクタ

上陸観光が可能なキャンプ・ミラーは、1910年、イングランドの北方探査会社が金の採掘の調査をしていた場所です。他にもこの地域では、このような事業がたくさん行われましたが、成功はしませんでした。

ここには、保存状態の良い当時の小屋と坑道が残っています。豊かな植生が広がる平地と岩だらけの斜面には、何千羽ものヒメウミスズメが生息しています。またここでは、緑豊かなツンドラでの散策をすることが出来ます。

 

ヴァルソルブクタ/ツンドラハイキング

 

 

ゴスベルグキレン(Gåsbergkilen)
北緯77°66’東経14°74′

ベルスンに突き出る大きな半島の先端部の小さな湾(ガンの岩の湾)の意味を持つゴスベルグキレンです。

背後の崖で繁殖する海鳥の栄養豊かな糞混じりの雪解け水が肥料になり、何千年もの間にこの辺りは厚いピート層が出来ていて、緑豊かな植物が見られます。崖は夏中海鳥の繁殖でにぎわいます。シロカモメは餌を探して高く舞い、ホッキョクキツネは崖下で落ちてくる雛を待っています。

 

ホッキョクキツネ

フィヨルド内の潤沢な湿り気と比較的温暖な気温に加えて海鳥が作り出す肥料とでスヴァールバル諸島では数少ない、豊かな動植物相が見られます。

ミッドターフケンの崖は、西スピッツベルゲン一の規模と言われ、ハシブトウミガラスとミツユビカモメがほとんどを占めています。さらにスヴァールバルでは珍しくオオハシウミガラスやウミガラスも見られる場所です。

 

ハシブトウミガラス

カオジロガンやハシブトガンの子育ても見ることがあるでしょう。かつてここは、脂肪と皮革のためにベルーガ(シロイルカ)を捕獲した場所でもあります。夏の間に狭いフィヨルドに大きな群れで入ってくるベルーガを一網打尽にした名残が多くの白い骨となって残っています。

 

 

アールストランドハルヴオーヤ(Ahlstrandhalvøya)
北緯77°55’東経14°98′

19世紀中ごろのスウェーデンの自然愛好家、ヨハン・アウグスト・アールストランドにちなんでつけられた、小さな半島です。ベルスンドから南に延びるヴァン・キューレン・フィヨルドの南岸出口近くにあって、近くの崖で繁殖する海鳥達にとって重要なえさ場でもあります。カオジロガン、ホンケワタガモそしてキョウジョシギ、ミユビシギ、ハイイロヒレアシシギ、ムラサキハマシギなどのシギ類も観られるでしょう。

 

スヴァールバルトナカイ

足の短いスヴァールバルトナカイもおいしい苔を食べています。 少し東に行ったところにあるインゲブリッツェンブクタでは当時の倉庫やボートなどベルーガ捕獲基地跡を垣間見る事ができます。