■ゼニガタアザラシ(Common seal or Harbor Seal)

●体長:1.2~2m ●体重:50~170kg
●分布エリア:太平洋から大西洋
●エサ:魚類、タコやエビ、イカ
●寿命:25~30年
●学名:Phoca vitulina

 

ゼニガタアザラシ/Quark-Expeditions

イヌイットがカシギアック(Kasigiak)と呼ぶゼニガタアザラシは河口域に生息し、時には川を遡行して大きな湖で年中過ごす事もあります。主にレイクトラウト(イワナ属)、コオリダラ、その他の白身およびサケ科などを含む魚を食べます。イヌイットの間では、ゼニガタアザラシの皮はより一般的なワモンアザラシの物と異なるので人気があります。ゼニガタアザラシは広範囲に分布しており、狩猟も散発的なので個体数も安定しています。

 

 

■ゴマフアザラシ(Spotted Seal)

●体長:1.5~2m ●体重:81~109kg
●分布エリア:ベーリング海、オホーツク海を中心とした北の海
●エサ:魚類、タコやエビ、イカ
●寿命:35年
●学名:Phoca largha

 

ゴマフアザラシ/Heritage Expeditions

ゼニガタアザラシと同じゴマフ属ですが別種類と見なされています。北極の氷の環境に良く適応した種類で東シベリアの流氷域で多く見られます。オホーツク海や渤海にも分布しており、アラスカでの分布は東のハーシェル島までです。ゴマフアザラシは類似の分布地域にいるワモン(フイリ)アザラシと混同されがちです。

ゴマフアザラシは秋~春の流氷群の間にいる時は主にシロイトダラを捕食しますが、夏には陸に近い海域で様々な魚とエビ類を食べます。

 

■クラカケアザラシ(Ribbon Seal)

●体長:1.7m ●体重:70~130kg
●分布エリア:ベーリング海、オホーツク海を中心とした北の海
●エサ:魚類、イカ、オキアミなど
●寿命:25年
●学名:Phoca fasciata

 

クラカケアザラシ/Heritage Expeditions

北極では最も知名度の低い鰭脚類であるクラカケアザラシはオホーツク海、ベーリング海、チュクチ海と棲家としています。冬と春には流氷群の中に留まり、氷が融けるにつれて沖合に出るので、めったに沿岸地帯では見かけません。クラカケアザラシには右肋骨の上側にある気管に繋がる気嚢があって、外洋での生息に適応して浮力を増すためのものと考えられます。クラカケアザラシは主にシロイトダラとタラバエビ属(アマエビ、トヤマエビ、ホッカイエビ等)を常食します。また、黒地に4本の白い帯をかけたような独特の柄の毛皮を着ています。帯は首、胴体の後方部分そして左右の胸びれをぐるりと巻いています。

 

■タテゴトアザラシ(Harp Seal)

●体長:1.7~2m ●体重:140~190kg
●分布エリア:北大西洋、北極海
●エサ:魚類、甲殻類
●寿命:35年
●学名:Phoca groenlandica

 

タテゴトアザラシは北方の真性アザラシ科の中で最大の繁殖群となっています。セントローレンス湾、ニューファンドランド東岸一帯、白海、そしてヤンマイエン島北方のグリーンランド海に計3つの群が生息しています。いずれの群れも夏の採餌場から繁殖のために南へ移動します。

タテゴトアザラシはしばしば毛皮の商業的捕獲の対象となってきましたが、究極には捕獲反対運動のシンボルになりました。かつて、かなり乱獲されましたが、数は回復しつつあるようです。新生児は全身純白の産毛で生まれてきますが、それは2~4週間でもっと濃い色の毛に生え変わります。成獣は背中を中心にアイルランド竪琴の形に似た大きな濃い色のシミがあります。小魚や甲殻類を主に食べますが、毎日体重の約1.5~5%を食べる必要があります。

 

■ズキンアザラシ(Hooded Seal)

●体長:2~3m ●体重:300~400kg
●分布エリア:北大西洋、北極海
●エサ:魚類、タコやエビ、イカ
●寿命:30~35年
●学名:Cystophora cristata

 

ズキンアザラシは大西洋の北西部に分布しており、デービス海峡南部、デンマーク海峡のヤンマイエン島北沖、そしてニューファンドランド島北東沖などで生息しています。デービス海峡群とニューファンドランド島の群れはお互いの交流があるようですが、ヤンマイエン島群はどれとも交流は無く孤立しています。

名前のズキンは大きく膨らんだ雄の鼻から来ています。鼻腔の粘膜を膨らまして鼻の上にとさか状の隆起物を造ります。通常、雄の成獣は侵入者を威嚇するときなどに膨らませます。さらに、左鼻腔から膨らませる事が出来る赤い風船のような構造物があって、これは鼻中隔の一部です。ズキンアザラシはほとんど1年中沖合に留まっています。グリーンランドオヒョウ、タイセイヨウアカウオ、シシャモ、コオリダラやイカ類を食べます。

 

■アゴヒゲアザラシ(Bearded Seal)

●体長:2~2.6m ●体重:200~360kg
●分布エリア:北極海からベーリング海、オホーツク海
●エサ:魚類、タコやエビ、イカ、貝類など
●寿命:25~30年
●学名:Erignathus barbatus

 

アゴヒゲアザラシ/Quark Expeditions

アゴヒゲアザラシは北極海全域に分布しています。イヌイットはその皮をロープ、長靴の底、そしてカヤックなどの革張ボートに使うために重宝しています。カナダ北極、フランツヨーゼフ・ランドとスヴァールバル諸島、ラプテプ海、そしてアラスカではボーフォート海までに分布しています。生息地は通常、流氷群の切れ目周辺ですが、定着氷地帯でも見られます。前足の強い爪で呼吸用の穴を常に開けておけるのです。ワモンアザラシも同様。名前のアゴヒゲは海底で餌を探すのに役立つ触角毛(口の周りの剛毛)から来ています。ベーリング海ではカニやエビジャコを好んで食べますが、コオリダラやコマイも常食します。イヌイットは主として皮や食用に捕獲して来ましたが他の材料が取って代わり、捕獲数は減りつつあります。

 

 

■ワモンアザラシ(Ringed Seal)

●体長:1.0~1.7m ●体重:65~95kg
●分布エリア:北極海全域
●エサ:タラ、小型魚類、甲殻類、軟体動物など
●寿命:25~30年
●学名:Pusa hispida

 

北極周辺の原住民達は長い間、ワモンアザラシを主要資源として利用して来ましたが、あまり広範囲に分布しているので大規模な商業捕獲の対象とはなりませんでした。ワモンアザラシは最も良く定着氷に適応した種でしょう。北極アザラシの中で最も広く分布しており、北極海全域、北ユーラシアと周辺の島々、カナダ北極の沿岸、グリーンランド、スヴァールバル諸島そしてフランツヨーゼフ・ランドなどに広がっています。(北極点でも何回か目撃されており、極点飛び込み大会用の穴から顔を出したこともあります。)

ワモンアザラシは比較的小型で、小さな甲殻類のプランクトンからコオリダラまで様々な生物を食べています。ワモンアザラシの名前は明らかに黒地に青白い輪紋(ワモン)のある成獣の模様に由来しています。最も数が多く見る機会も多いのに、どう繁殖するのかやホッキョクグマが天敵である事、どうやって仕留めるのかなどが全く書いていません。