パタゴニア(Patagonia)

 

〇人口:2,000,000人

〇面積:1,043,000km²

〇最高標高:チリのサン・バレンティン山(4,058m)

〇地形:山岳地帯、起伏の激しい海岸線、フィヨルド、熱帯雨林、小さな島々

 

概要

パタゴニアは南アメリカ大陸の最南端に位置する広大な地域で、アルゼンチンとチリにまたがっています。アンデス山脈はアルゼンチン・パタゴニア(乾燥したステップ、草原、砂漠で知られる)とチリ・パタゴニア(氷河フィヨルドと温帯雨林で知られる)を分ける自然の境界線です。
チリ・パタゴニアを訪れる人の多くは滝、湖、緑の森、山、そして南パタゴニア氷原を見ることができるトーレス・デル・パイネ国立公園に惹かれます。また、南米大陸の最南端に位置する群島ティエラ・デル・フエゴ「火の土地」も人気です。この群島にはオルノス島の岩場であるホーン岬や、世界最南端のアホウドリの繁殖地であるディエゴ・ラミレス諸島などが含まれます。

 

 

目的地のハイライト(Destination Highlights)

ホーン岬生物圏(Cape Horn Biosphere)

49,000km²のホーン岬生物圏保護区には「ホーン岬のミニチュアの森」を形成する何千もの小さな植物、コケ、地衣類が生息しています。世界最大の水域である大西洋、太平洋、南大洋の3つの海がホーン岬で衝突するため強風と波が発生し、これまでに何百人もの船員が命を落としてきました。ホーン岬生物圏保護区はアルベルト・デ・アゴスティーニ国立公園とカボ・デ・オルノス国立公園に囲まれています。鳥類ではオオフルマカモメ、シロコバシガン、マゼランキツツキなどが生息しています。

 

●ディエゴ・ラミレス諸島(The Diego Ramírez Islands,)

ディエゴ・ラミレス諸島はホーン岬から約105kmのところに位置し、野生動物、特に鳥類が豊富に生息する2つの小さな島々で構成されています。イスラ・ノルテ、イスラ・バルトロメ、イスラ・ゴンサロの3つの島々は、ツンドラ気候で雨が多いのが特徴です。ディエゴ・ラミレス諸島は世界最南端のアホウドリの繁殖地であり、アホウドリの生存に最も重要な場所のひとつです。 世界のマユグロアホウドリの約20%(55,000ペア)とハイガシラアホウドリの約23%(17,000ペア)がここで営巣しています。マカロニペンギン、イワトビペンギン、マゼランペンギンも多く生息しています。

 

●歴史的なビーグル水道(Historic Beagle Channel)

この歴史的な水路は1820年代に有名なチャールズ・ダーウィンを乗せてこの水路を航行したHMSビーグル号にちなんで名付けられました。ダーウィンが初めて氷河を見たのはビーグル水道の旅だったと言われています。ビーグル水道は長さ約240km、幅約5kmで周囲を山や氷河に囲まれています。

 

見所(Top Things to See)

●マルタ島のオタリア(Marta Island Sea Lions)

マゼラン海峡の真ん中に位置するマルタ島には豊富な鳥類と1,000頭以上ものオタリアが生息しています。水上バイクで島を一周すると、安全な距離からオタリアの群れを観察したり、写真を撮ったりすることができます。地元のチリでは「lobos marinos(海の狼)」と呼ばれるこの巨大な鰭脚類(オスは体重320kg以上)は、それぞれのオタリアが海岸線の最高の場所を奪い合い、騒々しいグループを形成しています。その他の野生動物としては、キバナウ、トウゾクカモメ、ナミオオセグロカモメ、そして運がよければイルカも見ることができます。 
※オタリアの学名は(Otaria flavescens)で、ネコ目(食肉目)アシカ亜目(鰭脚亜目)アシカ科アシカ亜科オタリア属の海棲哺乳類です。

 

●野生生物の観察(Wildlife viewing)

チリのパタゴニアにはマゼランペンギン、ジェンツーペンギン、イワトビペンギン、マカロニペンギンなど、さまざまな種類のペンギンが生息しています。鳥類の個体数も非常に多く、推定135万ペアのアオミズナギドリ、99,000ペアのモグリウミツバメ、55,000ペアのマユグロアホウドリが生息しています。他にもハイガシラアホウドリやハジロアホウドリなどがいます。
ティエラ・デル・フエゴに隣接する海にはミナミセミクジラ、ザトウクジラ、シロナガスクジラ、クロミンククジラが生息しています。イルカ、オタリア、アザラシ(オットセイ、ヒョウアザラシ、ミナミゾウアザラシ)などもよく見られます。

 

●パタゴニアの空からの眺め(Aerial Views of Patagonia)

ヘリコプターは息を呑むような山頂から、どこまでも続くチリのフィヨルドまで、パタゴニアの素晴らしさを鳥瞰図のように見せてくれます。空から見るパタゴニアの風景の多様性には驚かされます。フィヨルドや雪山に加え、青く染まった氷山、氷河、水路、フィヨルド、熱帯雨林、荒々しい海岸線など、野生動物が豊富に生息しています。

 

注目ポイント(Points of Interest)

グレイシャー・アレイ(Glacier Alley)

グレイシャー・アレイ(別名、氷河街道)は、2,300km²に及ぶ巨大なダーウィン氷原(コルディリア・ダーウィンとも呼ばれる)から海に向かって流れ落ちるタイドウォーター氷河の集まりです。ビーグル水道の北岸に位置し雪をかぶった山に囲まれているため、19世紀に地図を作成した探検家たちは、ほとんどの氷河にヨーロッパの国名(オランダ、イタリア、ドイツ、スペイン、フランス)をつけました。

 

●フエゴ諸島(Tierra del Fuego archipelago)

マゼラン海峡を挟んで南米大陸の最南端に位置するフエゴ諸島(ティエラ・デル・フエゴ)は48,100km²の群島で、ドラマチックな景観を有しています。チリとアルゼンチンが共有するこの群島は主島であるフエゴ島、ホーン岬、ディエゴ・ラミレス島で構成されています。フエゴ諸島は氷河、雪山、広大なツンドラ、風に削られた木々などで知られています。その本島であるフエゴ島には多くの南極探検の出発点であるアルゼンチンのリゾートタウン、ウシュアイアがあります。

 

●トーレス・デル・パイネ国立公園(Torres del Paine National Park)

トーレス・デル・パイネ国立公園はチリのパタゴニアにある真っ青な氷山、広大な氷河、湖、山、川などを擁する、南米で最も素晴らしい自然環境のひとつです。181,412haのこの国立公園は1978年にユネスコの生物圏保存地域に指定されました。公園の名前はパイネ山系にそびえる3本の花崗岩の柱にちなんで付けられました。
トーレス・ダゴスティーニ、トーレス・セントラル、トーレス・モンジーノの3つの花崗岩の柱が海抜2,500mまでそびえ立っています。
※トーレス・デル・パイネとは、日本語では「パイネの塔」という意味です。

 

いつ行くべきか(When to Go)

お勧めの季節

3月:パタゴニアの夏の終わりである3月は地域の探索に適した温暖な気候です。人混みも少なく、国立公園を訪れるには理想的です。