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南極クルーズ・北極クルーズの手引き

ミナミセミクジラ

この大型のクジラは泳ぐのが遅く、かつ体が脂肪分に富んでいるため死んだ後でも水の上に浮かんでいます。だからこそ捕鯨時代には漁師にとって「最適=right」なクジラと言われたのです。雌雄ともだいたい体長は15mくらいで最大では18m、平均体重は60トン、最大なものでは106トンになるものもあります。

このクジラの体色は真っ黒で所々に褐色の斑点があり、目の上、鼻の先、顎の上には角質化したコブ状の固い突起(カラシティ)があり、ときには腹部に白い斑点があります。体型は非常に大きく滑らかです。背びれが無いので他の南極の大型クジラと間違えられることはありません。ミナミセミクジラは大きく二つに分かれた噴気孔からV字型に噴気(潮吹き)を出す性質を持っています。尾は広く先が尖りV字型の深い切れ目があり、潜るときはたいてい尾鰭を水面から突き上げます。

頭部がかなり大きくて体長の35%ほどを占め、喉の畝(うね)はありません。
このクジラは他のヒゲクジラのように餌を獲るとき大きく畝を伸ばすことができません。その代わり2m以上もの長さがあるヒゲ板を支えている、細くてアーチ上に伸びた上顎があります。セミクジラは口を大きく開けたまま水中を泳ぎ、動きながらその長いクジラひげで餌をすくいとるのです。

セミクジラは初期の捕鯨時代から乱獲され、19世紀末までには殆ど絶滅に近い状態になってしまいました。今日では全面的な保護が図られて徐々に回復に近づいています。サウス・ジョージア島と拠点の一つである南アルゼンチンのバルデス半島近辺で最もよく見ることができます。

(南極旅行&南極クルーズ6-48)