南極・北極旅行&クルーズ 株式会社クルーズライフ

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南極クルーズ・北極クルーズの手引き

流氷(パックアイス)

定着氷は夏の間割れて浮き氷を作り、これが海流に押し流されると、積み重なりパックアイスとして広大な地域を覆います。風や波でパックアイスが分散すると、ポリニヤと呼ばれる開水域が沖合いに出来ます。大陸の近くではパックアイスは西の方向に浮流しますが、もっと北では東へ流れます。

パックアイスが出来る海域を予想するのは困難ですが、ウェッデル海、ロス海、更に小南極の太平洋海域の沖合いに集中して見られます。
パックアイスの北限は変化しますが、冬や初春には海岸から800㎞程度まで延びている所もあります。この時期パックアイスはおよそ1,900万平方㎞の海域に及びますが、夏の終わりの3月までには波、海流、氷の融解によって再び僅か400万平方㎞に縮小します。

この広大な季節周期作用により南極大陸の海床面積は冬場にはなんと1,800万平方㎞から3,400万平方㎞へと倍に広がります。太陽の放射エネルギーがパックアイスに当って反射する量が増え、逆に海水に吸収される量は減って、地球全体の気候に多大な影響を及ぼします。
秋と冬(2月~9月)に海氷がつくりだされる速度は夏の減少期(10月~1月)よりはるかにゆるやかです。英国の生化学者リチャード・ローズ博士によれば「海氷中に見られる発色した藻の層が夏には太陽の放射を吸収して、海氷の消失を加速しているかもしれない」との事です。博士の仮説が正しければ、微生物の形成が世界の気候に影響を及ぼす顕著な例となります。
春が寒い季節には定着氷が1年以上も残っている地域もあります。これは湾氷と呼ばれ、棚氷の一部となる事もあります。
棚氷は、積雪や陸地の高い場所から海にせり出した氷河の延長です。

(南極旅行&南極クルーズ5-24)