スノーヒル島(Snow Hill Island)
南緯64°28′ 西経57°12′

〇人口:0人

〇大きさ:幅12km、長さ33km

〇最高標高:山頂300m

〇地形:氷

 

コウテイペンギン

 

概要

南極半島の東海岸に浮かぶスノーヒル島を訪れる最大の理由は1つだけではなく、1万もの理由があると思います。
スノーヒル島には4,000ペアのコウテイペンギンとそのヒナたちが繁殖しており、そのコロニーは滅多に訪れることができません。比較的狭い場所に約1万羽のペンギンが生息していることになります。この種類のペンギンの生存と繁殖の習性は長い間、自然愛好家を魅了してきました。ペンギンは-60℃という厳しい寒さの中で生きているだけでなく、ペンギンの中で唯一海岸ではなく氷の上で繁殖し、卵を孵化させることができるのです。スノーヒル島への到達は、ほんの一握りの旅行者しか達成できない挑戦です。悪名高いドレーク海峡を渡るだけでなく、氷に覆われたウェッデル海を砕氷船で航行しヘリコプターで飛行した後、徒歩でコウテイペンギンの営巣地まで移動しなければなりません。

 

 

目的地のハイライト(Destination Highlights)

●コウテイペンギン(Emperor Penguins)

コウテイペンギンはとても魅力的な種です。17種類のペンギンの中で最大のコウテイペンギンの体長は100~130cmほどで、他のどの鳥よりも深く潜ることができ、魚やオキアミ、イカなどを狩るために565mの深さに到達することもあります。
コウテイペンギンは-60℃の環境でも生き残ることができ、時速200kmの吹雪にも耐えることができます。コウテイペンギンの4層の鱗状の羽毛は、防水性と厳しい風からの保護に役立っています。
コウテイペンギンは他のペンギンと異なり、海岸ではなく海氷の上で繁殖します。産卵したメスはオスに卵を託し採食のために海へ向かいます。その際、パートナーのオスに卵を渡します。オスは卵を慎重に足の上に乗せ、抱卵嚢(ほうらんのう)と呼ばれる羽毛状の皮膚の層で卵を覆います。オスは他の大人のオスと身を寄せ合い、南極の寒さから大切な卵を守ります。

 

●ドレーク海峡の横断(Crossing the Drake Passage)

悪名高きドレーク海峡は南米大陸先端のホーン岬とサウスシェトランド諸島の間、約1,000kmに渡って広がっています。南極を旅する者にとって、このドレーク海峡の横断は通過儀礼のひとつです。特に波が高い時の海峡は「ドレーク・シェイク 」と呼ばれます。逆に穏やかなときは「ドレーク・レイク(湖)」と呼ばれています。ドレーク海峡で頻繁に発生する巨大なうねりは、南からの冷たい海水と北からの暖かい海水がぶつかり合い、強力な渦巻きが発生するためです。
ドレーク海峡の通過には好条件であれば48時間かかることもあります。気温は北側の5℃から南側の-3℃までです。クジラ(ザトウクジラ、シャチ、ミンククジラ、ナガスクジラ)や海鳥(アホウドリ、ミズミナギドリ、鵜、トウゾクカモメ、カモメ)を観察するには、高品質な双眼鏡があると便利です。

 

●カピタン・フレブニコフ(Kapitan Khlebnikov)

伝説の砕氷船「カピタン・フレブニコフ」はスノーヒル島への旅の重要な役割を担っています。この砕氷船の力なくして、氷に覆われたこの島にたどり着く旅人はいないでしょう。カピタン・フレブニコフは極地の流氷の中を航行するために作られた砕氷船です。実際、南極大陸と北極の両方を一周したこともあります。この船には2機のヘリコプターが搭載されており、氷上偵察や乗客の観光に利用されています。

 

スノーヒル島

 

見所(Top Things to See)

●徒歩でスノーヒル島(Snow Hill Island by Foot)

砕氷船「カピタン・フレブニコフ」での冒険的な航海と専用ヘリコプターでの飛行を終えた後、なお客様は徒歩でスノーヒル島の有名なコウテイペンギンの営巣地まで約1.6kmの道のりを歩きます。一生に一度しか行くことのできない南極の島に足を踏み入れると、何か不思議な気持ちになります。地上では、南極のダイナミックな雪景色を間近に見ることができますが、何よりもコウテイペンギンの姿を(敬意を払った距離で)見ることができるのです。

 

●空から見るスノーヒル島(Snow Hill Island by Air)

カピタン・フレブニコフの甲板からヘリコプターでスノーヒル島に渡り、コウテイペンギンの営巣地の近くまで行くと、何千羽ものペンギン、ヒョウアザラシ、アホウドリ、マダラフルマカモメ、ナンキョクフルマカモメなど、島の素晴らしい野生生物を見ることができます。ミンククジラやザトウクジラは、空からのツアーでもよく見かける事ができます。
カピタン・フレブニコフのヘリコプターは、上陸できないような湾でも空からの観光を可能にします。

 

 

注目ポイント(Points of Interest)

●テーブル型氷山(Tabular Icebergs)

南極にはペンギンの数と同じくらいたくさんの種類の氷山があり、特にウェッデル海ではドーム型、くさび型、傾斜型、ブロック型などがあります。中でも目を引くのが「テーブル型氷山」です。氷山が棚氷から分離して出来るもので、外洋に浮かんでいると台地のように平らな上面と急な側面があるのですぐにわかります。

 

●ウェッデル海、氷山街道(Iceberg Alley, Weddell Sea)

ある旅行者はウェッデル海の「氷山街道」について「ダウンタウンのビルよりも大きな巨大なテーブル型の氷山、その青さは光り輝いている」と表現しています。氷山小路とは、ウェッデル海西部にある氷山の大規模な集積地の名称です。
様々な大きさの氷山が何百個もあり、氷岩(小さな氷山)や氷山片(氷河の氷の塊)もあることを想像してみてください。

 

 

いつ行くべきか(When to Go)

●お勧めの季節

孵化したばかりのコウテイペンギンのヒナが分散してしまう前に観察できる11月がお勧めです。この時期は、氷の状態も良くなります。

 

 

◆スノーヒル島で見られる動物達◆

コウテイペンギン