ハーフムーン島(Half Moon Island)
南緯62°36′西経59°55′

南極半島の沖合に連なるサウスシェトランド諸島の中で二番目に大きな島リビングストン島と隣のグレニッジ島の間にある広いムーン・ベイ(月の湾)の入り口近くに三日月型をしたハーフムーン島(長さ2km)があります。1820年2月にアメリカ人オットセイ猟師ナタニエル・パーマーが毛皮を求めて偵察の途中にグレニッジ島側のヤンキーハーバーと前後してここに初めて上陸しています。その後は主にアメリカからのオットセイ猟師が押し寄せ、いまでも毛皮を塩漬けにした当時の樽用たがや竿の切れ端そして当時のものと思われるボートの残骸が残されています。

ボートの残骸

地質学的にも興味深い島です。東半分のドラマチックな地形を作り出しているのは6千万年前まで遡る玄武岩を中心とした3つの火成岩盤で、安山岩などが風化して出来た砂利海岸を繋いでいます。氷河期以後の数千年間に氷河の重さが取り除かれたことにより起こったと思われる海岸線の隆起も見られます。 島の中央から東部にかけての水はけのよい傾斜地にはヒゲペンギン(1995年の調査では3,342番)が営巣しており、ペンギンの卵や雛を捕食するサヤハシチドリやオオトウゾクカモメもその周辺に巣を作っています。磯の岩の間ではミナミオセグロカモメやナンキョクアジサシが子育てをし、浅瀬には好物のナンキョクカサガイや海藻類も比較的豊富です。ペンギンの営巣地から発生するアンモニアガス、そして栄養豊かな雪解け水と、夏の長い日照時間でいろいろな色のコケ類、地衣類(岩肌の黄色やオレンジ色の固着地衣類)が繁殖しています。

固着地衣類

南極には二種類しかない顕花植物のナンキョクミドリナデシコとナンキョクコメススキも見られるかもしれません。

その他、アシナガウミツバメ、キバナウなどが飛び交い、2月になるとミナミゾウアザラシ、ウェッデルアザラシやナンキョクオットセイなども浜辺に訪れます。上陸地点から東側の海岸のヒゲペンギンの中にマカロニペンギンが1~2羽見られる事もあります。中央部にあるテニヤンテ・カマラ基地(アルゼンチン1956年創設)周辺にはデセプション島の火山性地震を監視する自動地震測定器が設置されているため立ち入らないようにしましょう。

テニヤンテ・カマラ基地

島の背景に見える雄大なリビングストン島の大氷河群はカメラの被写体にぴったりです。

氷河

 

◆ハーフムーン島で見られる動物達◆