アイチオー諸島(Aitcho,HO Island)
南緯62°24′西経59°47′

 

 サウスシェトランド諸島内、ロバート島とグレニッジ島の間にある狭いイングリッシュ海峡に浮かぶ小群島で、1935年英国水利局(Hydrographic Office)の頭文字HOを水夫達がロンドンの下町なまりでアイチオーと読んだのが始まりです。このあたりは外洋に近く、複雑で速い海流のため海藻類とそれに連鎖する水中生物が豊富で、それらを食べるゼンツーペンギンやヒゲペンギンの営巣地が昔の捕鯨時代をうかがわせる名残の間に並んでいます。

私たちの上陸予定はその中のバリエントス島(Barrientos Is.)です。島東端の上陸地から丘に登ると、南北両岸が見渡せます。北岸の断崖には渦巻き状になった玄武岩の見事な柱状節理が見えます。島の急斜面にはヒゲペンギンが営巣し、平地にはゼンツーペンギンが巣を作ります。特に2月中旬頃になると好奇心旺盛なゼンツーペンギンの幼鳥が観光客の近くまで寄ってくるのもこの島です。

ゼンツーペンギンの幼鳥

また、ミナミゾウアザラシの群れが換毛期(1ヶ月前後)の間岸辺に寝そべるのを見られるかもしれません。1月中旬頃からはナンキョクオットセイの独身族が将来のハーレムの最適地を探してうろうろします。その他ウェッデルアザラシ、ヒョウアザラシなどもよく見られます。上陸地対岸のセシリア島沿岸では、天敵の心配がないミナミオオフルマカモメが砂浜で営巣し、空にはミナミオオセグロカモメ、オオトウゾクカモメ、アシナガウミツバメ、サヤハシチドリ、そしてナンキョクアジサシなども忙しく飛び廻っています。条件が良ければ,ゾディアッククルージングの際に、島の西部海岸でも換毛期のミナミゾウアザラシやミナミオオフルマカモメが見られるでしょう。

なお上陸地点からイングリッシュ海峡を隔てた対岸のグレニッジ島側に見えるオレンジ色の建物群はエクアドルのペドロ・ヴィンセント・マルドナド基地です。

ペドロ・ヴィンセント・マルドナド基地

 

◆アイチオー諸島で見られる動物達◆

ⒸRlindblad20171222