サウスシェトランド諸島(South Shetland islands)
南緯62°西経58°

南極半島の西、ブランズフィールド海峡を隔てた沖合約120kmの海域に、西端のスミス島から東端のクラレンス島まで450kmに渡って半島に並行するように点在する大小20余りの島群で、南極点からの距離が英国シェトランド諸島と対照的な場所にある事からこの名前が付きました。

サウスシェトランド諸島の形成は、4百万年くらい前から始まったとみられます。太平洋プレートの欠片であるフェニックスプレートが南極プレートの下に沈み込み始め、沈み込むフェニックスプレートに引きずられて南極プレート側の一部に裂け目(正断層)ができたのが背弧海盆であるブランズフィールド海峡です。サウスシェトランド諸島は今も沈み込むフェニックスプレートに引きずられて毎年10㎜位ずつ南極半島から離れつつあります。

サウスシェトランド諸島

記録に残る確実な発見記録は、1819年2月19日に英オットセイ猟師ウイリアム・スミスがドレーク海峡で南に流されてリビングストン島北東端にある現在のウイリアム岬を目撃し、同年10月16日にはキング・ジョージ島に上陸し英国領土と宣言した時です。

英海軍大尉エドワード・ブランズフィールドが1819-1820年に諸島全体を測量して以来英海軍海図に載るようになり、その頃から多くの英米のオットセイ猟船それに続いて捕鯨船が押し掛けはじめたのです。南極半島を含めた同諸島は、南極条約が発効するまでは英国(1908年)、チリ(1940年)、アルゼンチン(1942年)により三重に領有権宣言され、1903-31年頃の南極捕鯨全盛時代にはフォークランド属領経由で英国が覇権を確立していました。

捕鯨基地跡

サウスシェトランド諸島は南極海の中では比較的温暖な気候の為観測基地が多く、キング・ジョージ島とリビングストン島を中心とした各地に13ヶ国が計18基地を置いています。

スペインの南極基地

陸上は厳しい環境にありますが、サウスジョージア、サウスサンドイッチ諸島、サウスオークニー諸島などを含めたスコシア弧状列島はツンドラ生態系を成しています。これらは全て南極極前線(南極収束線)以南の冷水海にありますが陸上のコケ、地衣類、藻類そして、周辺の海域はナンキョクオキアミを要とする世界一豊かな海で海鳥、ペンギン、アザラシ、クジラ類の生活を支えています。

ゼンツーペンギンとミナミゾウアザラシ

 

 

◆サウスシェトランド諸島の見どころ◆