■ナンキョクオオトウゾクカモメ(South Polar Skua)

●体長:53cm ●体重:1kg
●分布エリア:南極大陸と周辺の島
●エサ:ペンギンの卵やヒナ、他の鳥や小動物
●寿命:24年
●学名:Catharacta maccormicki

 

ナンキョクオオトウゾクカモメ/Quark Expeditions

他のほとんどの鳥や小動物にとって天敵で、常習的に卵を盗んだり、雛を捕って食べたりします。トウゾクカモメは餌をくわえた鳥が諦めてそれを落とすまで、追い詰めて苦しめたり、ミズナギドリやクジラドリの成鳥を殺したりさえします。彼らは攻撃的な猛禽類で傷ついたペンギンなどかなり大型の餌食でも殺すことができますが、必要ならゴミあさりもします。

トウゾクカモメは営巣するためのコロニーは形成しませんが、よく群れをなして繁殖しています。常に海岸近くの岩の上、または広々とした土地の上で巣ごもりします。通常一度に2個の卵を産み、雌雄交代でおよそ4週間温めます。雌雄両方で雛に餌を与えたり、卵や雛を果敢に守ったりします。巣の周りへの侵入者は恐るべき速度と激しい力で急降下攻撃を受ける恐れがあります。

 

■ミナミオオゼクロカモメ(kelp Gull)

●体長:55~65cm ●体重:0.8~1.1kg
●分布エリア:オーストラリア、ニュージーランド、南米、アフリカ
●エサ:雑食性
●寿命:15~20年
●学名:Larus dominicanus

 

ミナミオオセグロカモメ/Quark Expeditions

南半球に広く分布するミナミオオゼクロカモメは、魚そしてカサガイや他の無脊椎動物もいる昆布がある水辺で良く見られます。また、アザラシやペンギン繁殖地で餌を漁っている姿も見かけます。

 

■ナンキョクアジサシ(Antarctic Term)

●体長:35~40cm ●体重:150~175g
●分布エリア:南極海域の島
●エサ:小魚、甲殻類
●寿命:約30年
●学名:Sterna vittata

 

ナンキョクアジサシ/Quark-Expeditions

ナンキョクアジサシはよく、海の上を飛びながら突然まっさかさまに飛び込んで小魚や甲殻類を捕ります。大抵、磯近くまたは内陸で小さな規模で営巣します。通年見られる鳥で、流氷や氷山の上にちょこんと停まっているのを見かけます。北極と南極の間を毎年渡るキョクアジサシ(Sterna paradisaea)は見分けるのが非常に難しいため、サウスジョージア島ではごくまれにしか記録されていません。

 

■ワタリアホウドリ(Wandering albatross )

●体長:2.5~3.5m ●体重:6~12kg
●分布エリア:南半球
●エサ:魚、イカ
●寿命:30~40年
●学名:Diomedea exulans

 

ワタリアホウドリ/Quark Expeditions

近い種類であるロイヤル(シロ)アホウドリと共にワタリアホウドリはどの鳥よりも大きな翼幅を持っています。最大記録は3.6mで、体重は12kg以上ありました。ワタリアホウドリは長生きで60歳以上の個体も記録されていますが、非常に繁殖が遅い種類でもあります。雌が産卵し始めるのは最低8歳で2年ごとに一羽ずつ子育てをします。夏の半ばに産卵し77日後に孵化します。育雛(巣の中で育てる)は冬を挟んで278日かかり、巣立ちは翌年の11~12月です。幼鳥はその後、海で5年位過ごした後、生まれ故郷に戻り求愛活動を始めます。

ワタリアホウドリの幼鳥が巣立ちするときは焦げ茶色をしていますが、年と共に徐々に白い羽が多くなり、雄鳥の方が早く白羽になります。

 

■マユグロアホウドリ(Black-browed albatrosses)

●体長:83~93cm ●体重:3~5kg
●分布エリア:亜南極の島々、南太平洋
●エサ:オキアミ類(ナンキョクオキアミ)、魚類
●寿命:30年~40年
●学名:Thalassarche melanophris

 

マユグロアホウドリ/Quark-Expeditions

ワタリアホウドリより小さくて、翼幅は210cmです。数はマユグロアホウドリが75,500つがい、ハイガシラアホウドリが47,800つがいで、世界総数の半分以上がここで繁殖します。両種とも漁業の乱獲と餌の減少と考えられる原因により数が減りつつあります。時には両種が混じって、断崖の上や急斜面に群れで営巣します。巣は泥と草を固めた直径約30cm、高さ45cmくらいの円筒形です。ここまではよく似ていますが、繁殖には違いがあります。マユグロアホウドリの子育ては毎年一羽ずつですが、ハイガシラアホウドリの子育ては1か月ほど長くかかり、産卵は2年後です。この違いは、マユグロはオキアミを主食とし、ハイガシラは栄養的にはより低いイカを食べている事が原因です。

 

■ハイイロアホウドリ(Light-mantled albatross)

●体長:79~89cm ●体重:2.6~3.7kg
●分布エリア:南大洋
●エサ:イカ
●寿命:30~40年
●学名:Phoebetria palpebrata

 

ハイイロアホウドリ/Heritage-Expeditions

ハイイロアホウドリはその黒っぽい羽毛と細くて長い翼でサウスジョージア島の他の鳥から容易に区別できます。アホウドリの中でもっとも優美な鳥で、求愛中の雌雄2羽は、翼を優雅に調和させながら断崖上を滑空します。ハイイロアホウドリの存在は断崖近くを飛ぶ他の鳥に呼びかける特徴ある鳴き声でも知る事が出来ます。イカを主食とし、1年おきに繁殖します。

 

 

■キタオオフルマカモメ(Northern giant peterels)

●体長:81~94cm ●体重:4~5kg
●分布エリア:亜南極の島々
●エサ:魚、イカ、鳥
●学名:Macronectes halli

 

キタオオフルマカモメ/Quark Expeditions

オオフルマカモメの2種類は外見上よく似ていますが、成鳥の嘴先端の色(キタオオフルマカモメは赤、ミナミオオフルマカモメは緑)で区別できます。さらに、キタオオフルマカモメはミナミオオフルマより6週間早く産卵するという、はっきりとした繁殖時期の違いがあります。また、ミナミの種には時々全身白い羽毛の個体もいます。オオフルマカモメは小型のアホウドリくらいの大きさで、腐肉を食べる習慣がある事から、南大洋の禿鷹の別名もあります。アザラシの死骸のそばで仲間同士が小競り合いしたり、重過ぎて飛び立てなくなるほど食べたりしますし、魚、イカや他の鳥も食べます。バード島では、キタオオフルマカモメが増えつつあります。おそらく、雛が孵化する時期にオットセイ繁殖地で死骸がふんだんにあるからでしょう。腐肉あさりの習性は雌よりかなり大きい雄に顕著です。雌は一般的に沖合でオキアミ、イカそして魚を捕食します。

 

 

■ミナミオオフルマカモメ(Southern giant petrels)

●体長:86~99cm ●体重:2.3~5.6kg
●分布エリア:南極大陸、南極半島
●エサ:魚、イカ、オキアミ、鳥
●寿命:14年
●学名:Macronectes giganteus

 

ミナミオオフルマカモメ/Quark Expeditions

キタオオフルマカモメと違い、ミナミオオフルマカモメの数は最低線をたどっています。腐肉あさりの習性は雌よりかなり大きい雄に顕著です。雌は一般的に沖合でオキアミ、イカそして魚を捕食します。

 

■マダラフルマカモメ(Cape petrel)

●体長:40cm ●体重:450g~480g
●分布エリア:南半球
●エサ:甲殻類、イカ、魚
●寿命:15~20年
●学名:Daption capense

 

マダラフルマカモメ/Quark-Expeditions

白黒のペンキを振りかけたように見える事から、ピンタードとも呼ばれるマダラフルマカモメは際立って船を追う習性があります。サウスジョージア島は生息範囲の北限に当たり、それほど多くは営巣していません。崖の隙間などに単体又は小さい群れで繁殖します。マダラフルマカモメは主に甲殻類、イカそして魚を捕食しますが、加工処理したあと捨てられる内臓などを狙って漁船の周りには大きな群れで集まります。捕鯨が盛んなころの基地上空には、おこぼれを期待して大きな群れが見えたものです。

 

■ノドジロクロミズナギドリ(White-chinned petrel)

●体長:51~58cm ●体重:1kg~1.5kg
●分布エリア:亜南極の南大西洋、インド洋、南西太平洋の島、サウスジョージア島、ニュージーランド周辺の島々
●エサ:主にイカ類、オキアミ
●学名:Procellaria aequinoctialis

名前が示すように、黒い体の嘴下の喉が白いノドジロクロミズナギドリは海上でよく見られます。サウスジョージアでは90万つがいほどがタソック草の根元に穴を掘って営巣します。もっと小型のミズナギドリと異なり、ノドジロクロミズナギドリは日中巣穴に出入りします。夜聞こえる鳥の鳴き声がミシンのキィキィする音に似ている事から捕鯨時代には、基地労働者から「靴屋」とも呼ばれていました。

 

■ユキドリ(Snow petrel)

●体長:30~40cm ●体重:250~450g
●分布エリア:南極大陸周辺、サウスジョージア島
●エサ:オキアミ、イカ、魚、鳥
●寿命:14~20年
●学名:Pagodroma nivalis

 

ユキドリ/Quark Expeditions

雪のように白い羽毛にピッタリの名前が付いたユキドリは標高300m以上もある山の急斜面の大岩の下や割れ目に巣を作ります。サウスジョージアはその生息範囲の北限に当たります。ユキドリはよく氷河の近くや氷板の近くで見られることが多く、外洋ではめったに見られません。

 

■アオミズナギドリ(Blue petrel)

●体長:26~32cm ●体重:1.7~2.3kg
●分布エリア:分布繁殖地は亜南極の島々である。ホーン岬のディエゴ・ラミレス諸島、プリンス・エドワード諸島、サウスジョージア島、ケルゲレン諸島、マッコーリー島など。外洋では南大洋に終局的に分布する。
●エサ:極小のカイアシ類
●寿命:20年
●学名:Halobaena caerulea

 

■ナンキョククジラドリ(Antarctic prion)

●体長:25~27cm ●体重:58~66g
●分布エリア:マッコーリー島、ケルゲレン諸島、オークランド諸島、ハード諸島、スコティア湾、サウスジョージア諸島、サウスサンドウィッチ諸島、スコット島で繁殖
●エサ:極小のカイアシ類
●寿命:15~20年
●学名:Pachyptila desolata

かなりの数がいるこの2種はよく似ていますが、船の横を通り過ぎる時にアオミズナギドリの白い尾羽の先で見分けられます。甲殻類の大きな群れに群がって食べている様も異なります。アオミズナギドリは水面近くを飛びながら細い嘴で一つずつ摘まみ上げますが、ナンキョククジラドリはひだが付いた幅広の嘴で極小のカイアシ類などを水から濾しとって食べます。これはヒゲクジラの捕食方法と似ています。胃の中に41,000のカイアシ類が入っていたクジラドリを捕まえた事もあります。サウスジョージアには推定2,200万つがいのナンキョククジラが営巣します。アオミズナギドリの7万つがいと同じようにクジラドリはタソック草の根元やがれきの下に穴を掘って巣としますが、持ち込まれたドブネズミの被害を受けています。

 

 

■アシナガウミツバメ(Wilson’s Storm-petrels)

●体長:15~19cm ●体重:35g
●分布エリア:南極大陸から亜南極の島々で繁殖し、非繁殖期は、太平洋、大西洋
●エサ:小さな甲殻類、魚
●学名:Oceanites oceanicus

アシナガウミツバメが採餌するときは水面近くをダンスでもするように、時々足を水につけて小さな甲殻類や魚をつまみます。踊るように見えるのは空中でエネルギーをなるべく使わないための手立てです。サウスジョージアでは3種類のウミツバメが営巣していますが、アシナガウミツバメが最も広く分布しており、数も多いです。少数のクロハラウミツバメとヒメアシナガウミツバメも岩の割れ目や巣穴にいます。鳥の大きさの割には卵が大きく、7週間と言う抱卵期間は通常より長いと言えます。アシナガウミツバメは冬になると北大西洋に渡ります。

 

■キバナウ(Antactic cormorant)

●体長:75~77cm ●体重:1.8~3.5kg
●分布エリア:南極での繁殖期にケルゲレン島、クローゼー諸島、マッコーリー島、サウスジョージア島
●エサ:魚、イカ、タコ
●寿命:10~15年
●学名:Leucocarbo bransfieldensis

 

キバナウ/Quark Expeditions

陸の近く、たいてい海岸線に沿った場所で見られる鳥です。キバナウ(ズグロムナジロヒメウ、サウスジョージア・ムナジロヒメウ)は翼を使って泳ぐペンギンと違って、ウ(鵜)は水かきのついた足で泳ぎます。通常は平均5分間、深さ80~90mまで潜りますが116mまで潜る事もできます。餌は海底に住む魚やタコですが、時には群れで水面を泳いだ後、一緒に潜水捕食します。ほとんどの営巣地は小規模で、海を臨む岩の斜面に数十位の巣が見られます。海藻類を積み重ねて作った巣に2~3個の卵を産み、雛は産毛無しで孵化しますが、後に生えてきます。

 

 

■サヤハシチドリ(Snowy sheathbill)

●体長:31~41cm ●体重:460~780g
●分布エリア:南極半島、パタゴニア、フエゴ島、南大西洋
●エサ:主に腐肉食
●学名:Chionis alba

鳩のような白い鳥はチドリ科の遠い親戚です。アザラシ繁殖地やペンギン営巣地で食べられるもの何でも漁り、海辺でも餌を探します。時には、縄張り争いで傷ついた雄アザラシの傷口を突っついたり、餌をやっているペンギンの親鳥から横取りしたりさえします。普段は飛ぶよりは歩いている姿を見る方が多いのですが、冬にはフォークランド諸島や南米大陸に渡ります。