アドミラルティ湾(Admiralty Bay)キングジョージ島
南緯62°09′西経58°29′

南極大陸のバナナ・ベルト(熱帯)との別名がある程暖かい南極半島の沖合に浮かぶサウスシェトランド諸島はさらに暖かい場所ですが、最大のキング・ジョージ島はその好条件を利用して、南極で最も基地が多い島です。 島中程にあるアドミラルティ湾にはエクアドル、ブラジル、ペルー、そしてポーランドの観測基地が其々異なった入り江にあります。

ポーランド基地(ヘンリック・アートフスキー基地)の名前はベルギーのゲーラーシェ隊(1897-99年)に参加したポーランド人の気象学者の名が付けられたものです。1977年に設立された基地は夏には約70名、冬は20名程度の規模で主に海洋生物学の観測をしていますが、南極で最も居心地のよい基地といわれています。

ハーフムーンビーチと呼ばれる上陸地点から、捕鯨時代の名残である鯨の骨が散らばる間を海岸沿いに左側に進むと大きなミナミゾウアザラシが何頭も換毛のために集うのが見えます。

クジラの骨

私たちの日焼けした皮膚が剥げ落ちるように、ゾウアザラシの古い皮膚も内側からの新しい皮膚に押されて剥げ落ち終わるまで、毎年この頃に3週間ほど痛痒く、肌寒い時期をお互いの肌を寄せ合って過ごします。

換毛期のミナミゾウアザラシ

2月になるとオットセイも浜辺沿いに集まってきます。オットセイは陸上でも犬のように早く走ることが出来るので、最低でも15mは間隔を取らないと追いつかれてしまう危険があります。
内陸部分にある苔の間には南極に2種類しかない顕花植物である南極コメススキと南極ミドリナデシコが見られるでしょう。

南極ミドリナデシコ

また、ナンキョクアジサシやトウゾクカモメの子育ての場所でもあるので絶対に踏み込まないようにしましょう。ミナミゾウアザラシ群の先の丘の上は一般立ち入り禁止の「特別科学関心地域」となっていてアデリー、ゼンツー、ヒゲのペンギン3種の営巣地となっています。営巣地に立ち入ることはできませんが、海と営巣地とを往復するペンギン達を観察する事が出来ます。

 

◆アドミラルティ湾で見られる動物達◆

©Rlindblad170120