ペンギン島(Penguin Island) 
南緯62°06′西経57°54′

サウスシェトランド諸島内、キング・ジョージ島に位置するペンギン島は直径約1.7km、高さ180mのほぼ円形をした典型的な火山島です。1820年に英ブランズフィールド探検隊が海辺を覆う多くのペンギンを見た事からその名前がつけられました。

頂上の大クレーターは最低300年前頃の噴火により形成されたとみられ、直径350m、深さは35mあります。火口内側斜面にはプラグ(岩栓)と呼ばれる、溶岩が噴出する前に火道で固まった状態がみられ、放射状に岩脈が連なったのは小さな噴火を物語るものでしょう。火口外側のなだらかな斜面には2月頃になるとナンキョクオットセイの独身族が訪れ、海辺近くではゼンツーペンギン、ウェッデルアザラシを見る事もあります。

雪が融ける1月中旬以降になると、南極で2種類しかない顕花植物であるナンキョクコメススキとナンキョクミドリナデシコが見られ、ペンギン営巣地から流れ出る栄養豊かな雪融け水と夏の長い日照時間で活発に行われた光合成により増殖した緑色の青海苔状のものはナンキョクカワノリです。

東側にある小クレーターの最後の噴火は100年前以内と考えられます。火口に水が溜り、内側斜面にはヒゲペンギンの営巣地が、外側の淵には南オオフルマカモメの巣が見られます。巣にいる雛に近すぎると、海鳥の共通の防衛策として、洗っても取れないほどの臭い油を吐きつけるので注意が必要です。なお、キング・ジョージ島に面した一帯と小クレーターの周りは特別科学関心地域に指定されており、一般立ち入り禁止となっています。

 

◆ペンギン島で見られる動植物達◆

 


©Rlindblad170120