ヴェルナツキー基地(Vernadsky Base)
南緯65°15′ 西経64°16′

ルメール海峡の南にあるピーターマン島からさらに南へ8km、ペノーラ海峡と外洋へ繋がるフレンチ海峡との交差点にあるのがアルゼンチン諸島で、フランス南極探検家ジャン・シャルコー隊(1903~05年)により発見され、アルゼンチン政府による同隊への手厚い援助に対する感謝を込めて、このように命名されました。

1935年にはイギリス南極半島観測隊の越冬臨時基地が同諸島内のウィンター島に設けられ、1947年3月末には隊員5人の恒久的な基地(Base F)となり、ワーディー・ハットと名づけられました。その後1954年に現在の位置であるガリンデス島のマリナポイントに移り、1977年にはイギリス人物理学者の名が付いたファラデー基地と変わりました。1980年の増改築によりイギリス風パブも設置され、近くを通る船や観測隊員の人気の的でした。

ウィンター島

オゾンホールの発見につながる電離層観測もここで行われたのです。しかし、1996年までには南極観測の国際的情報交流も進み、イギリス本国の予算縮小とも合いまって閉鎖が決定されました。ところがロシア共和国が旧ソ連の全基地を受け継いだため、自前の基地候補地を探していたウクライナ共和国が1996年2月7日付けで基地をイギリスから引き継ぎました。

したがって現在はウクライナの海洋生物学者ウラジミール・イワノビッチ・ヴェルナツキーにちなんでヴェルナツキー基地と呼ばれ、南極半島部分ではもっとも長寿の観測基地となりました。主にイギリス基地時代から引き継いだ超高層大気圏、気象、電離層などを12名前後の隊員が観測しています。

イギリス基地時代から引き継がれたパブでは、飲み物も注文できます(有料)。売店ではお土産類購入とウクライナ経由の葉書発送も利用できます(米ドル現金のみ)。

イギリス風パブ

ウィンター島の旧基地の建物は修復され南極史跡博物館(ワーディー・ハット)となっており、1940年代の観測生活をうかがうことが出来ます。  

ⒸRlindblad171017