南極半島(Antarctic Peninsula)

〇面積:522,000km²

〇最高標高:ホープ山(3,239m)

※南極半島のパーマーランド北部にあるエタニティ山脈の中央に位置する

〇地形:80%が氷に覆われ、山が多い

 

 

概要

南極半島は南極大陸から南アメリカ大陸に向かって北上する1,300kmの陸地と氷の領域です。初めて南極を訪れた人は氷山、氷河、雪に覆われた山頂、信じられないような野生動物など、南極の驚異的な美しさに圧倒されます。第7大陸を訪れることを夢見ている人々は、通常氷に覆われた山の多いこの半島から出発します。
ブランスフィールド海峡は南極半島と北のサウスシェトランド諸島を隔てています。南米最南端のティエラ・デル・フエゴは約1,000km離れたドレーク海峡の対岸にあります。
南極半島ではミンククジラやザトウクジラを至近距離で見ることができ、湾やフィヨルド、入り江ではありとあらゆる形や大きさの氷山を見ることができます。南極半島は多様な自然の景色に恵まれています。ダンコ島ではペンギンの営巣地を観察したり、ネコハーバーでは巨大な氷河が分離や崩落する光景やその音に畏敬の念を抱きます。

 

目的地のハイライト(Destination Highlights)

●南極収束線(Antarctic Convergence)もしくは、
 南極前線(Antarctic Polar Front)

南米大陸の南端に位置するウシュアイアから南極大陸に向かう乗客は、南緯55度に位置する南極収束線を通過しなければなりません。
この収束線では南極からの冷たい海水とインド洋、太平洋、大西洋からの暖かい海水が混ざり合います。暖流と寒流が混ざり合うことでドレーク海峡の荒波が発生するだけでなく、クジラやアザラシの餌となるオキアミや海産物が豊富に生産されます。

 

●ドレーク海峡の横断(Crossing the Drake Passage)

悪名高きドレーク海峡は南米大陸先端のホーン岬とサウスシェトランド諸島間の約1,000kmに渡って広がっています。
南極を旅する者にとって、このドレーク海峡の横断は通過儀礼のひとつです。特に波が高い時の海峡は「ドレーク・シェイク 」と呼ばれます。
逆に穏やかなときは「ドレーク・レイク(湖)」と呼ばれています。
ドレーク海峡で頻繁に発生する巨大なうねりは、南からの冷たい海水と北からの暖かい海水がぶつかり合い、強力な渦巻きが発生するためです。

ドレーク海峡の通過には好条件であれば48時間かかることもあります。
気温は北側の5℃から南側の-3℃までです。
クジラ(ザトウクジラ、シャチ、ミンククジラ、ナガスクジラ)や海鳥(アホウドリ、ミズミナギドリ、鵜、トウゾクカモメ、カモメ)を観察するには、高品質な双眼鏡があると便利です。

 

●ネコハーバー(Neko Harbour)

1911年から1924年まで操業していた捕鯨船「ネコ号」とフローティング・ファクトリーにちなんで名づけられたネコハーバーは、片側が巨大な氷河に囲まれています。丸石のビーチでは。ジェンツーペンギンが繁殖し、ウェッデルアザラシやオットセイの人気の隠れ家になっています。大きな氷の塊が湾に崩落して雷のような水しぶきを上げる「グレイシャー・カービング(氷河の崩落)、または、アイスバーグ・カービング(氷山の分離)」は、ネコハーバーでよく見られる現象です。バーダー(野鳥観察者)が、このエリアを訪れるのは、上陸地点の岩場にトウゾクカモメが集中しているからです。
→ネコハーバーの詳しい説明を見る

 

●マルグリット湾(Marguerite Bay)

南極半島西岸の主要な湾であるマルグリット湾は、氷に覆われた山々、歴史的な観測基地、そして湾の北端にあるディオン諸島のコウテイペンギンのコロニーで知られています。周辺の観測基地、1951年から1975年にかけて建設されたものです。小さなバリー島にあるアルゼンチンのサンマーチン基地、アデレード島南東部のウォーマルド・アイス・ピードモントの南端にあるイギリスのロゼラ研究基地とアレクサンダー島の東海岸に位置するフォッシルブラフ航空機用燃料補給基地です。

 

●ダンコ島(Danco Island)

ダンコ島は、1898年にベリングスハウゼン海の氷に閉じ込められたベルジカ号で心臓発作のために亡くなったベルギー人地質学者エミール・ダンコ中尉に因んで名付けられました。エレラ海峡の中央に位置するダンコ島は、長さ1.6km、高さ180mと比較的小さいにもかかわらず、島の北岸の斜面には2,000羽以上の。ジェンツーペンギンが営巣しています。沖合の岩場や砂浜にはウェッデルアザラシが集まっている。夏の終わりには、エレラ海峡を回遊するザトウクジラやミンククジラの姿を見ることができます。
→ダンコ島の詳しい説明を見る

 

 

見所(Top Things to See)

●南極半島の野生動物

南極半島は、南極圏の北側に位置する南極大陸の最北端の地域です。そのため、南極大陸の中でも最も気候が温暖で、夏には雪解けの季節を迎え、海洋哺乳類や鳥類の繁殖地となっています。南極半島では、ペンギン、クジラ、アザラシ、アホウドリなどの海鳥がよく観察されます。写真には写っていないかもしれませんが、ゲストが目にする野生動物の多くを支えているもうひとつの種は、クジラ(シロナガスクジラ、ホッキョククジラ、セミクジラ、ザトウクジラ、ミンククジラ、コククジラ)、アザラシ、ペンギン、イカ、魚の主要な食料源である小さな甲殻類のオキアミです。

 

●サウスシェトランド諸島

サウスシェトランド諸島は、南極半島の北約120kmに位置し、南極半島に向かう旅行者が最初に立ち寄る場所でもあります。サウスシェトランド諸島は、様々な種類のペンギン(ジェンツー、アデリー、ヒゲ)、アザラシ、海鳥、シャチなど、豊富な野生動物が生息していることで知られています。サウスシェトランド諸島最大のキングジョージ島は、多文化の島として知られています。キングジョージ島には、8つの国が常設の研究基地を運営しています。それぞれの基地は、迷路のような道路や道で結ばれています。ある科学者はこう言いました。「中国やウルグアイにも寄り道しながら、ロシアとチリを文字通り行き来できる場所は、地球上のどこにもありません」。

 

注目ポイント(Points of Interest)

南極圏の横断(Crossing the Antarctic Circle)

南極圏を通過することは、ほとんどの人が成し遂げられない偉業です。南極圏への探検クルーズでは、南緯66度33分まで移動します。南極圏は、太陽の中心が24時間地平線上にあり続けることができる南半球の最北端の緯度です。

 

●南極でのオーバーナイト・キャンプ(Overnight Camping)

極地を訪れる人々の多くが、南極半島での最も印象的な体験のひとつとして、オーバーナイト・キャンプをすることを挙げます。真夏の夜空の下、プロテクトされた寝袋に身を沈め、氷河の軋む声やペンギンの鳴き声に耳を傾けていると、旅行者は7大陸の厳しい環境に果敢に挑んだ初期の極地探検家たちに思いを馳せます。

 

いつ南極に行くべきか(When to Go)

11月〜12月

南極は厳しい冬から目覚めます。流氷が溶け始め、氷山が最大の質量になり、日が長くなるにつれ自然光が雪に覆われた風景から野生生物まですべてを照らし出します。ペンギンをはじめとする海鳥たちは、この時期に求愛や産卵を行います。

 

12月〜2月

雪が後退すると岩だらけの岬が露出し、ペンギンの雛が孵化し、日照時間の増加(1日20時間まで伸びる)によって氷山が溶けて浸食され始めます。気温の上昇に伴い、氷河の崩落も増えてきます。この時期のホエールウォッチングは、特にウィルヘルミナ湾などで行われます。

 

2月〜3月

流氷が減少し、南極大陸のより南側を航行できるようになります。日が短くなり、素晴らしい夕日が見られるようになります。多くのザトウクジラ、ミンククジラ、シャチが見られます。

→南極半島の観光シーズンを詳しく見る