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南極クルーズ・北極クルーズの手引き

鰭脚類

鰭脚類 (Pinnipeds) ネコ目 イヌ亜目 鰭脚下目 3科 21属 33種
アザラシ、オットセイ、アシカ、セイウチが鰭脚類(pinnipeds)を構成しています。翼状をした鰭(ひれ)を見れば動物学者がこのグループを分類学上の名前に「羽」を意味するpinniと「足・脚」を意味するpedをつけて「羽脚」又は「翼脚」と言う名を付けた理由が分かります。

鰭脚類には33種あり、個体数にして6,800万以上があります。
これらの種類は北極、南極およびその間のほとんどの海域に生息しています。
鰭脚類はかなり広い温度差に耐え、セイウチなどは風の強い-30℃の氷上で眠る一方、モンクアザラシはハワイの砂浜で日光浴をします。種類により産まれた海域に一生留まるのもいれば、毎年何千キロも移動するものもいます。
種類差も大きく、成獣の大きさも様々です。

鰭脚目はアシカ科(アシカとオットセイ)、アザラシ科(その他のアザラシ)、セイウチ科(セイウチ)の3科から構成されています。
オットセイとアシカは鼻先でボールを操る典型的なサーカスアザラシ(実は雌のカリフォルニアアシカ)に例えられます。
真正アザラシにはタテゴトアザラシやゴマフアザラシなどが含まれます。
(ポスターやカレンダーなどで白毛の子供が見られます。)セイウチの2亜種は非常に似ていてさながら牙のある大アザラシと言ったところです。

鰭脚類の3科は俗称でも知られており、アシカ科の仲間は「歩くアザラシ」や「耳ありアザラシ」と呼ばれています。アシカ科には真の北極種はいません。アザラシ科には「這うアザラシ」や「耳なしアザラシ」と呼ばれています。
これらの名前は陸上での行動形態や外耳(耳たぶ)の有無をあらわしています。
セイウチ科の2亜種とも同じセイウチと呼ばれています。

アシカ科の学名はOtariidaeでギリシャ語の「小耳」を意味するOtarionから派生していて、この仲間は全て尖った耳たぶを持っています。
アザラシ科の学名Phocidaeはギリシャ語の「アザラシ」から派生しています。
Phoceは「膨らむ」を意味するサンスクリット語根phaと関係があり、アザラシが丸々と太っている事をあらわしています。
セイウチの学名Odobenidaeはギリシャ語のOdous(歯)とbaino(私は歩く)から派生しました。これはセイウチが牙を使って歩くと思われていた事と関連していますが、今ではセイウチは歩くのに牙は使わない事が分かっています。

鰭脚類各種の最も重要な違いの一つは四肢の骨格です。
アシカ科とセイウチ科は四肢を使って立って歩いたり、犬のように走ったりできますが、アザラシ科は尾ひれの踝の関節は前に曲げて歩いたり走ったりできないようになっています。
さらに、アザラシ科の胸鰭は往々にして立ち上がるほど大きくないか、あるいはそのような関節構造にはなっていません。
ですから、陸上で移動するには、シャクトリムシのように背を曲げてのたうつように動き、尾ひれをうえに上げたまま胸鰭で体をひっぱる事もあります。

水泳方法も科により異なっています。
アシカ科は胸鰭のみを櫂のように使い、ペンギンやウミガメのように水中を飛ぶように泳ぎ、長いしなやかな首をひねって方向転換をして移動します。
それに引き替え、アザラシ科は魚が泳ぐごとく、尾ひれを扇状に広げて下半身と共に左右に動かして泳ぎます。この同じ左右の動きでアザラシは氷の上も身をくねらせて滑るように早く動くことが出来ます。
実際、北極のクラカケアザラシは人間が全速力で走る位の速度で移動できます。
高速の場合には胸鰭は側面にピッタリつけますが、非常にゆっくり移動する場合は胸鰭も使う事があります。一方で、アザラシ科は胸鰭を使って方向転換をします。
セイウチは尾ひれを交互に漕ぎ、胸鰭はアシカ科同様に同時に動かして、あるいは全く動かさず、泳ぎます。全ての種の最高遊泳速度を知るのは困難ですが、アシカ科は時速26㌔,アザラシ科は時速21㌔,セイウチは時速38㌔(瞬間速度で、通常は時速6㌔以上で泳ぐことは稀)まで出せるという事が分かっています。

鰭脚類の3つのグループは共通の祖先から進化したものではありません。
アシカ科とセイウチ科は熊から枝分かれしたもので、アザラシ科はイタチ科(カワウソ、イタチなど)の動物から進化したものです。鰭脚類の動物が海に戻ったのはクジラ類と同じ理由で、海には簡単に捕食できる食べ物がたくさんあったからです。

(北極旅行&北極クルーズ6-56)