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南極クルーズ・北極クルーズの手引き

科学研究基地

科学研究基地(Scientific Research Stations)

 

人類は、昔から南極で小さな小屋や仮設のキャンプで越冬してきました。しかし、現在の様な常設の基地が建設されたのは、第二次世界大戦後になってからの事でした。その後、国際地球観測年に向けた準備が始まり、より多くの国々が南極に基地を作り始めました。

 

ゴンザレス・ビデラ基地(チリ)

 

現在では30ヵ国以上の国が年間を通じて約100ヵ所の観測基地やキャンプを運営しています。また夏季にのみ活動する観測基地も約100ヵ所運営されています。南極の中でも、海や空からアクセスの良い南極半島は、大陸の中で最も基地が集中している地域です。また、アルゼンチン、チリ、イギリスの3ヵ国が領有権を主張している地域でもあります。

 

ほとんどの観測基地は、メンテナンスやアクセスがしやすい海沿いの不凍地域に建設されています。基地には研究室や住居、倉庫や作業場など、比較的小さな建物がいくつも建ち並んでいます。

 

大陸の内陸部にもいくつかの基地があります。これらの基地は通信の為に氷の下にトンネルを掘ったり、ドームで覆ったりと、工夫されたつくりになっています。これらの内陸部の基地は、氷が常に移動しているため、多くのメンテナンスが必要です。現在、基地を運営する際、より少ない人員で、環境への影響をより少なくする取り組みが行われています。一例としては、ベルギーのプリンセス・エリザベス基地では、太陽光と風力を動力源にした、石炭や石油を一切使わない基地として知られています。

 

南極基地では、冬は800人~1,000人、夏には3,000人~4,000人の科学者や技術者が働いています。各基地の平均人数は、小さい基地で20人~40人、大きな基地では100人以上の人々が働いています。

 

南極の観測基地は後方支援によって成り立っており、主に、砕氷船とヘリコプターを使用し、物資を供給します。いくつかの基地は滑走路が用意しており、他の基地や孤立したキャンプに物資を供給する拠点として、使用されています。

 

南極の観測基地では、大気や氷河、地質や気象、生物、環境など、様々な分野の研究活動が行われています。これらの研究と合わせて、プレートテクトニクスや気候変動、さらには中性子望遠鏡を用いた惑星科学などの研究を行い、南極の複雑な現象を研究しています。また、オゾン層の破壊など、地球温暖化に関連した地球規模の研究も行っています。

 

南極で研究を行う国は独自の研究計画を作っています。国際的には、1958年に設立された非政府組織である、SCAR(南極研究科学委員会)が研究の調整を行っています。また、物資などの物流はCOMNAP(南極観測実施責任者評議会)によって調整されています。

 

 

(南極旅行/アンタークティカ21南極ハンドブック9)