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南極クルーズ・北極クルーズの手引き

地質

地質(GEOLOGY)

 

マッコーリー島は、独特な形をしており、約60万年前に地殻変動によって作り出された長い尾根とその後、歯磨き粉をチューブから絞り出したような、表面に出た溶岩がふさいだり、押し出したりした形をしています。その結果、海底の5~6.57kmのところにある地球のマントルから溶岩が上昇し、表面に露出しています。以前もその後もこのような火山活動はなく、このような事が起きた場所は、地球上で知られる唯一の場所となっています。この島は、まだ急速に隆起しており、その地質から1977年に世界遺産に指定されました。

 

マッコーリー島は、恐らく1,100~3,000万年前の間に形成され、新しい海洋性地殻で海底に広がった海嶺です。ある段階で広がっていくのが止まり、地殻が圧縮し始め、マントルの奥から、岩石を歯磨き粉のチューブのように上へと絞り出していきました。尾根が成長していき、約60万年前に海面へ露出しました。マッコーリー島には、いくつか特殊な面があります。1つは、このような海洋性地殻から上へ絞り出され形成された島は、他の亜南極の島々にはありません。ハード島を含むほとんどの亜南極の島々は、最初は、海底火山の発達でした。溶岩の層の蓄積の結果、一部は海面状に露出している所もあります。プリンスエドワード島、マクドナルド諸島、クローぜー諸島も海底火山から形成され、オークランド諸島とキャンベル諸島も火山が起源です。以前は、大陸と大陸性地殻に付いていました。

 

2つ目に、マッコーリー島の岩は、元の海洋地質環境にあるマッコーリー島の岩は、他の場所にある類似の岩よりも変形がはるかに少ないです。

例えば、キプロスのトロードス複合岩体、オマーンのセメール複合岩体、ニューファンドランドのアイランズ湾複合岩体は、地質学的にマッコーリー島と似ていますが、より変形しています。これらの岩は、大陸のように岩が溶接され、岩が押しつぶされたり、引き伸ばされたり、またはその両方の過程からなっています、

 

複合岩体の岩は、実際に海洋性地殻から由来しているか、どうかについて、いまでも重要な地質学の議論としてあります。一部の地質学者は、環太平洋周辺の火山島のように、強いられて海洋性地殻が活動した場合や沈み込み帯のように近くの大陸の下へとプレートが沈みこんだ場合などまったく異なる方法で形成されたと考えています。マッコーリー島は、これらの島とはまったく異なる地質学的環境にあり、しかし、元の海洋環境に非常に近いと考えられています。それは大陸の端に押し付けられていません。

 

この島の地質学的起源は、他の亜南極の島々と異なるので、その景観や形成する過程も異なります。主な違いとして、マッコーリー島の景観のほとんどが、海面で立ち上がる波の浸食過程によって形成されています。対照的に、火山島の多くは、海抜の成長が速く、侵食効果は、沿岸周辺のみで発生します。主な爆発イベントで展開する傾向があります。また景観が氷によって形成される他の亜南極の島々とは異なり、マッコーリー島は氷河の浸食をもっていません。

 

マッコーリー島は、過去60~70万年の間に海抜が上昇し、最近の測定では、約6,000年前から、年平均0.8mmのペースで上昇しているとされています。島が海面より隆起した証拠は、標高6~400mの範囲が波によって浸食された古いビーチや地域が広がっています。

 

マッコーリー島の形状に対する他の大きな影響は、地震活動にも寄与する広範囲の断層運動でした。マッコーリー島は、リヒタースケールで7.5(マグニチュード7.5)の地震を10年に1回経験しています。大きな活断層が多く、海岸を形成し、断層は湖を作り出し、主たる地形を制御してきました。また地震は、大きな地滑りを引き起こし、その傷跡は多くの斜面を覆っています。

 

マッコーリー島で興味深いことの1つに、一般的な小川や川が欠如し、いくつかの湖には、流入または流出する小川がありません。これは岩盤が非常にひびのある性質によるものか、または、岩盤が沈んでいるのか、斜面になっているのかだと思われます。その結果、岩に水が急速に浸透し、恐らく最終的に島の一部の海岸へ出ていくと思われます。これらの湖は非常にぬかるんだ泥状になっています。湿原は最大6mの深さであると報告されている泥炭で構成されており、過去約5,000〜7,000年にわたって形成されたと考えられています。

これは、世界の他の地域の泥炭と比較し、有機物の蓄積速度が非常に速いか、分解速度が遅いことを示しています。一定の割合ではありませんが、マッコーリー島の低地にある沼地は、世界に多くある他の沼地より約10倍の速度で広がっています。

 

(南極旅行/ロス海・亜南極8-1)