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南極クルーズ・北極クルーズの手引き

ミナミゾウアザラシ

ミナミゾウアザラシ(Southern Elephant Seal)
ミナミゾウアザラシは亜南極の殆ど全域にわたる島々に生息しているだけでなく、南極大陸の2、3の沿岸地域にも生息している大型哺乳動物です。世界最大のアザラシと言われその大きさは北極のセイウチを上回ります。雄は体長6m、体重は約4トンにもなります。雌も体が大きいほうですが、雄よりはずっと小さく体長3.6mで体重は約1トンになります。

雄の成獣はその大きさと膨らます事が出来る大きい鼻が特徴で、濃い灰色の体色をしています。雌は茶色帯びた色で鼻は大きくありません。雄は8月末に海岸に現れ縄張りを確立し、数週間後に現れる雌の到着を待ちます。雄は50頭位までの雌がいるハーレムの縄張りを守る間に何度も他の雄から挑戦を受けます。母親がハーレム海岸に到着して約1週間後に幼獣(体長1.5m、体重36kg)が生まれます。母親はたった3~4週間しか授乳しませんが、子供の体重は1日に約9kg平均で急速に増え続けます。繁殖期中は雄が縄張りを守ろうとして動き回る際、その巨体で子供を押し潰すことが多く、子供の死亡率は高くなっています。幼獣は離乳すると海に餌を食べに行く両親にしばし放置されます。2週間ほど後に浜辺に戻った群居性の親たちは換毛期の1ヶ月間ほどの間、泥の窪みで群れて過します。浜辺にぎっしりと密集した巨大なゾウアザラシの群れの眺めと匂いは、まさに壮観です。

ゾウアザラシは、長距離を定期回遊しません。繁殖場所を離れて海に行くときは、大体沖に延びてゆく流氷群先端を辿ってゆくだけです。餌はイカを主食とし、時に魚で補いますが、いずれも深さ約1,000m、時間にして30分以上も深く海に潜って捕まえたものです。

オットセイが1820年代にほぼ絶滅してからというものアザラシ猟業者たちはゾウアザラシに目を向けました。彼らの皮下脂肪から燃料用オイルを精製する為でした。巨大な雄のゾウアザラシから1頭で約400リットルの高品質の油がとれました。オットセイの乱獲パターンがここでも繰り返され、19世紀半ばまでにはゾウアザラシもほぼ絶滅に近くなり、アザラシ漁は一時終わりを告げました。

しかし個体数が回復しだすと1910年頃には再びサウスジョージア島でのゾウアザラシ猟が始まり、今度は若干の捕獲規制が図られ、1965年に最終的に止めるまで商業捕獲が続けられました。幸い生息数は順調に回復し、ゾウアザラシたちは再び昔からの生息地で数多く見かけられるようになりました。


(南極旅行&南極クルーズ6-8-2)