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南極クルーズ・北極クルーズの手引き

南極大陸

南極大陸(Antarctica)
南極を定義するには一つの言葉では足りません。英語で“The Antarctic”と表記した場合は、普通、南極大陸とその周辺の棚氷、諸島及び海域を意味し、”Antarctica”は南極大陸のみを指します。地政学用語で南極とは南緯60度線から南の全域を含みます。これは南極条約が適用される地域です。科学的見地からみて最もふさわしいのは、南極収束線(南極極前線)が形成する海洋学上および生物学上の境界線を南極の限界線とするものでしょう。その為、南緯66度33分の南極圏を南極の境界線とするのは適当ではありません。南極大陸(Antarctica)は、面積約1,400万平方㎞ の世界で五番目に大きな大陸です。しかしその大部分は厚さ平均2,450mの広大な永久氷床で、氷河に包まれていない露岩は、全陸地の僅か0.25%しかありません。

南極大陸は大きく二つの部分に分かれています。半円状の大きな部分は大南極(東南極)と呼ばれ、その縁は、かろうじて大西洋、インド洋、西太平洋に接する南極圏内沿っています。湾曲した尾の部分の根元は、小南極(西南極)と呼ばれ、根元は広い土地と南極半島の細長い部分から成りたっていて、1,200㎞ほど南アメリカの南端に向かって伸びていて太平洋東部地区に横たわっています。

大南極はほぼ全域が氷で覆われていますが、切立った山々が氷の間から突き出している海岸地域もあります。一方、南極半島では高い山脈が連なり、氷の高原がその頂上を覆い、多数の活動中の氷河によって削られています。海岸の多くは氷壁となっていますが、太平洋側では岩石がむき出しの海岸線に出会う事もあります。

最も標高の高い大陸(The Highest Continent)
氷床も含めると、南極大陸は世界で最も標高の高い大陸です。最高地点は小南極のウェッデル海沿い、エルズワース山脈にあるヴィンソン・マシフ(4,892m)です。他にも3,000mを越す山が数多くありますがその殆どは厚い氷に覆われています。大南極を覆っている氷床はドーム・アーガス(A)で4,092mの高さに達し、小南極の氷原の平均高度はその半分以下です。

南極で一番広大な山系である南極横断山脈はウェッデル海のコーツランドから大陸の反対側にあるロス海のヴィクトリアランドまで4,000km に及んでいます。中央部は約2,000㎞ がむき出しで、巨大な氷床のドームを押し留めています。しかし氷河はこの山地も押し分けて移動し、徐々にロス棚氷に合流します。

大南極にはもうひとつ、すっぽりと全体が氷床に覆い隠された巨大なガンブルツェフ氷底山脈があります。大西洋とインド洋側の海岸沿いにも別の山脈がありますが、氷に埋まった山頂や岸壁が所々覗いています。これはイヌイット語でヌナタク(岩峰)と呼ばれています。これらの大きな山脈の間には広い低地や盆地が広がっていますが、そうした土地は大陸の中で最も分厚い氷に覆われています。南極点そのものは海抜2,835mで氷床の上にありますが、氷床もそれと同じ位の厚さがあります。下の基盤は大体海面と同じ高さにあります。大南極では基盤岩がその上に乗っている厚さ4,000mにも達する氷の重さの為にしっかりと海面下に押しつけられている地域があります。最も厚いところでは、4,776mにもなります。南極大陸の基盤はたいていその上にある氷の重さが数百mも押しつぶされている様です。ある研究によれば覆っている氷が完全に無くなった場合、大南極は約1,000m、小南極は約500m隆起すると予測されるそうです。同時に氷が溶解して生じる水量の為に地球の海水面は60m以上上昇し、地球の多くの陸地が水没する事になります。

南大洋(The Southern Ocean)
南大洋は南極大陸を取り囲む常に荒れた幅広い帯状の水域からなっており、北限はおよそ南緯40°です。偏西風とそれに伴う周南極海流が大きな特徴です。これらにより大量の海流は絶えず南極大陸周辺を西から東へと流れ続けます。この流れは、水面から約3,000mの深海まで至り、距離は、24,000㎞まで及びます。

毎秒平均1億3,000万㎥ ほどの海水が絶えず移動しているものと見られ、これはメキシコ湾流の4倍、ミシシッピー川の400倍の水量に相当します。しかし、その南側では偏東風のため潮流が西向に流れて大陸近くの沿岸海流となります。沿岸部の多く、特に東南極では比較的狭い帯状の海流ですが、ウェッデル海、ベリングスハウゼン海、ロス海の様に湾状をしている場所では時計回りの渦巻き海流もあります。

南極大陸に向かう船は南緯49°と55°の間で急激に気温が落ち込む現象に出会います。この海域では、海上や大気中でもかすかな変化が生じているのが感じられます。温暖な天候の場合、突然濃い霧が現れたり、大波の水帯や餌を狙って多くの海鳥たちが一箇所に集まったりするのを見る事があります。その海域が南極大陸を取り囲む南極収束線(南極極前線)なのです。南半球の夏には収束線を横断する際に海水温が7℃から3℃に下がる事もあり、冬季には水温の差が10℃にもなる事があります。

南極収束線(南極極前線)(Antarctic Convergence / Antarctic Polar Front)
南極収束線は比較的暖かい亜南極表層水と冷たい南極表層水との間の境界線です。ここでは冷たくて密度の高い海水が暖かい海水の下をもぐって北に向かって流れています。南極収束線は海水表面温度が下る事で分かります。

南極収束線は正確に引かれた一本の線上にあるのではなく、一年中、年中、更には年毎にも変化します。この収束地帯は魚や鳥、鯨が食べるプランクトンなどの生物分布に影響を及ぼす重要で独特の生物学的現象です。収束線を渡る前と後では、全く異なる種類の生物が見られるのです。

この収束線の南側の海域はしばしば南極海と呼ばれています。およそ2,000万平方㎞の海域を網羅していますが、これは全世界の海洋の10%に当ります。地球上で最も冷たく塩分の高い海水ですが高い生物生産性で知られています。さらに南極海は南半球の海流循環に大きな影響を与え、事実上地球全体の天候をも支配しているのです。南極からの海水は深い海の底を流れています。南極の周囲を流れる海流はおおむね3,000mの深さの海層を流れています。南極海で最も深い海溝はスコシア島弧の東に位置する大西洋部分で、8,328m(メテオル海淵)の深度に達しています。

海水の三つの層(Three Water Layers)
南極海が特に興味深いのは水温、塩分、潮流が異なる3つの層から成り立っている事です。3つのサンドイッチ状の層は西風のために絶えず東向きに渦を巻きながら南極大陸周辺を流れています。一番上の層と一番下の層はゆっくりと北の方に移動して南極の冷たい海水を熱帯に運びます。一方、真ん中の層は南に向かって流れ(他の二つの潮流で失われた海水と入れ換わり)養分と暖かい海水を温帯や熱帯地方から運びます。

南極表層水(Antarctic Surface Water)
南極表層水と呼ばれる一番上の層は、南極の動植物に最も直接に影響を与えている海水です。南極表層水は南極発散線に源を発しています。南極発散線は大陸付近の最南端にある細い海域でここでは中層の海水が表層水の発散によってつくり出される帯の間に引きあげられています。こうして出来た層は常に氷や大陸からの冷たい空気によって冷却され、冬には-1℃以下ですが、夏の短期間の収束線に近い北縁辺りでは約3℃まで暖められることもあります。南極表層水の特徴は、夏に海氷と氷山が融解して出来る低い水温と低い塩分にあります。

南極表層水が南極収束線まで達すると暖かくて塩分濃度の高い亜南極表層水に接触します。これらの二つの水塊はほとんど混じりあう事がありません。南極表層水は亜南極表層水と接触したところでその下に潜り込み南極中層流となって北に向かいます。南極中層流はニュージーランド、南オーストラリア、そして太平洋の島々の海岸を冷却します。この潮流は大西洋の赤道北側でも確認されています。

温暖深層水(Warm Deep Water)
温暖深層流と呼ばれる中層の温かい海水層は大西洋、太平洋、さらに、おそらくインド洋などの表層水を源とする南へ向かう水塊です。この深層流は南極発散線付近で湧昇しますが、高塩分と比較的高い水温が特徴です。湧昇した深層水が水面に達すると冷たい空気に触れて冷却され、その一部は氷の融解氷で塩分が低くなり南極表層水として北に戻ります。

南極底層水(The Antarctic Bottom Water)
温暖深層水の残りは南極大陸の方へ押しやられ冷却されます。より冷たくなった水は大陸棚の斜面に沿って沈み、サンドイッチの下層、すなわち南極底層流として北へ向かって海床沿いに南極大陸から流れ去ります。この底層水は低温(-0.5℃ )かつ高塩分で、南極の水を北半球の遥か大西洋や太平洋まで運んでいきます。

ドレーク海峡(The Drake Passage)
悪名高いドレーク海峡は、ホーン岬とサウスシェトランド諸島の間の約1,000㎞の海域です。海峡は1578年にマゼラン海峡を越えた後、南に流されてこの海峡を発見したフランシス・ドレークに因んでいます。その50年以上前の1525年にスペインのフランシスコ・デ・オセがやはり南に流されて「地の果てを見た」と報告しています。

パナマ運河(1914年)が開通する前は、ドレーク海峡が国際貿易の重要な通商路を担っていました。荒れて流氷も多いドレーク海峡を通ってホーン岬を回り込むのは、特に帆船の時代の船と乗組員にとって厳しい試練でした。当時、無事に「ホーン岬を超えた」船員は、金輪の耳飾りを左耳につけ、片足をテーブルに挙げて食事することが許されたほどでした。南極周極海流はドレーク海峡を西から東に流れます。推定流量は1秒当たり34億~53億立方mでアマゾン川の5,000倍ほどです。南極半島に到達するには、この海峡を海流の方向を考慮した角度で横断する必要があります。偏西風の強さと相まって荒海となり「ドレーク・シェイク」と呼ばれるほど揺れることがあります。海が活動的でも我々の船はこのような天候を考慮した船です。逆に「ドレーク・レイク(湖)」と言われるほど静かなこともあります。

ドレーク海峡超えを多くの人は南極航海の通り抜けなけれならない儀式と考えています。我々の船のドレーク海峡越えは、順調にいっておおよそ48時間かかります。予想がつきにくいドレーク海峡の天候ゆえ、どんなドレーク越えとなるかは運にまかせるしかないでしょう。

南大洋の島々(The Island of the Southern Ocean)
南極大陸と周りの大陸との間には19ほどの島があり、そのいくつかは最初に若干出てきました。それらはオーストラリア、英国、フランス、ニュージーランド、ノルウェー、そして南アフリカが領有しています。そのいくつかをアルゼンチンとチリも重複して領有主張しています。19島の内5島は南極条約が及ぶ範囲内にありますが、ピーター1世島など、いずれも小さくて氷河に覆われており、訪れることが非常に困難な島です。約半数の島は氷冠があり、南極大陸と周りの南半球の大陸との中間的存在です。夏になるとこれらの島々と他の南大洋の島々の浜辺や氷のない場所は、繁殖のために集まる海鳥やアザラシ類のワイルドライフで大混雑します。多くの島には、科学観測基地や気象観測所があり、かつて島を植民地化する試みがなされましたがすべて成功していません。

(南極旅行&南極クルーズ5-1)