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南極クルーズ・北極クルーズの手引き

ミナミゾウアザラシ

ミナミゾウアザラシ(Southern Elephant Seal)

 

 

ミナミゾウアザラシは、2種類のゾウアザラシのうちの1種です。最も巨体な鰭(き)脚類(きゃくるい)だけでなく、これまでに生きてきたネコ目の仲間でも最大でもあります。このアザラシの名は、その大きな身体と大人のオスが持つ長い鼻から由来しています。長い鼻は、交尾期になると、とてつもなく大きい轟音を発する際に使われます。オスは、メスよりはるかに大きいため、大きさで性別をはっきりと区別できる性的二型の動物です。メスは、平均体重約680kg、全長3mです。一方オスは、体重約3,600kg、全長6.3mに成長します。1913年にサウスジョージア島のポセッション湾で撃たれたオスのゾウアザラシは、5,000kgで全長6.9mの記録があります。

 

ミナミゾウアザラシは、主に南極大陸と他の亜南極の諸島で見られます。サウスジョージア島には、個体数の最大の群れが生息し、これは、全体の個体数の半分以上に及びます。また重要な個体数の生息地としてマッコーリー島、ハード島、ケルゲレン諸島があります。一部、ニュージーランドやオーストラリア、南アフリカでもゾウアザラシの個体が報告されています。またさまよったゾウアザラシが北上し、赤道近くで見られたこともあります。

 

ゾウアザラシは、19世紀から20世紀初頭まで、油のためにアザラシ猟師たちによって大規模な捕獲が行われました。その後、数は回復してきており、今では、南極海域で彼らをみることも珍しくなく、ゾウアザラシの個体数は、約60万頭と推定されています。

 

ゾウアザラシは、深海で餌を取り、最大1,700mまで潜ることができ、最大2時間の潜水が記録されています。彼らは、イカなどの頭足類、深海の小さなサメや大きな魚を餌にしています。海にいる時のほとんどは、水中で時間を費やし、水面には、潜水の合間の数分を過ごすだけです。そしてシャチがゾウアザラシにとって唯一の天敵です。

 

19世紀の狩猟により絶滅に瀕した後、個体数が回復しましたが、現在、約60万の個体数が減少しているようです。理由は不明ですが、狩猟から保護の対象とされると、種が急速に回復し、均衡数を上回ったのではないかと思われます。またミナミゾウアザラシの主な繁殖地のほとんどは、現在、ユネスコ世界遺産に登録されていたり、国際条約によって保護されている地域です。

 

ミナミゾウアザラシは、8月から11月にかけて繁殖します。オスは、メスが到着する何週間も前に繁殖地へ到着し、自分の領土を主張する轟音の大声をだしたり、戦いをします。いとこであるキタゾウアザラシと同じように、この種は、一夫多妻制であり、成功を収めたオス(アルファ)は、最大60頭のメスとハーレムを持つことが出来ます。また他のオスたち(ベータ)もハーレムを持ちますが小さい規模になります。負けたオスたちは、ハーレムを持っていませんが、アルファやベータのメスを誘惑しようとします。そのため、ゾウアザラシは、自分の領土を守るために、何ヶ月も食べずに、蓄えた脂肪で領土に留まります。

 

ミナミゾウアザラシのメスは、海岸に来てから最大10日間で子供を出産し、最大23日間授乳します。その後、子供を自立させるために置いていき、メスはハーレムに戻り、オスと交尾して、新しい子供を作ります。離乳した子供は、浜辺を離れ、餌の取り方を教えてもらえるかもしれませんが、浜辺は、混雑しており、しばしば押しつぶされて死んでしまうため子供にとっては危険な場所です。

 

(南極旅行/ロス海・亜南極8-4-1)