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南極クルーズ・北極クルーズの手引き

ノドグロチドリ

ノドグロチドリ(Shore Plover)

 

チャタム諸島のランガティラ島は、最近まで絶滅の危機に瀕していたノドグロチドリの最後の生息であり、1990年代、野生には、わずか130羽となっていました。1991年、この小さな渉禽(しょうきん)類の卵がチャタム諸島で採取され、国立野生生物センター(NWC)へ移されました。信じられないことにわずか1年後、鳥たちは、1歳で番として飼育され、繁殖プログラムが開始されました。1994年に、飼育されたチドリは、ハウラキ湾にあるモトゥオラ島で野生へと放す最初の試みが行われました。そして飼育下では合計75羽の鳥が産まれ、その後5年間で野生へ放されました。

 

残念ながら、野生へ放たれた鳥たちは、天敵のいない島から、近隣の河口や浜辺へと分散していき、捕食者によって殺されてしまった可能性があり、このプログラムでノドグロチドリの新しい個体数の確立は成功しませんでした。移動性の高い種であり、島の沖合に生息するニュージーランドアオバズクを恐れていたと考えられています。ノドグロチドリたちは、天敵になる鳥類も含め、他の捕食者のいない別の島を求めていました。1998年、東海岸沖に適切で私的な島が見つかりました。現在、国立野生生物センター(NWC)で育てられた若いノドグロチドリは、全てここに放され、その島では、健全な個体数が自立し始めたと考えられています。一部の鳥は、分散してしまいましたが、プロジェクトを成功させるのに十分な数が残っており、野生のノドグロチドリの個体数を確立させるために、次の5年間で産まれてくる子孫を開放するのに、適した別の安全な生息地に注意が向けられています。

 

ノドグロチドリは、チドリ/コバシチドリ(チドリ科)の仲間で、オスの頭は黒く、メスの頭は、茶色をしています。どちらも額に白い帯があり、くちばしは、オレンジ色に先端が暗い色をしています。彼らは、騒々しく、特に近寄ったものに対し、大きな鳴き声を出します。この警戒の声は、脅威が過ぎるまで、繰り返し大音量で鳴き続けます。繁殖期は、強い縄張りを持ちますが、冬季は、群れの中で餌をとり、止まり木にとまっています。ノドグロチドリは、10月中旬から1月にかけれ巣を作り、オスとメスの両方が抱卵し、孵化させます。巣は、厚い植生の下、または岩や流木の間の穴、隙間に隠しています。2~3個の濃い斑点模様のある卵を産み、28日間抱卵します。孵化した雛は、約35日で巣立ちます。

 

ノドグロチドリは、かつてニュージーランドの海岸線とチャタム諸島まで広く生息していましたが、1880年代までに、チャタム諸島のみに制限されてしまいました。ネコやネズミなどの捕食性哺乳類の渡来により、ニュージーランド本土で絶滅を引き起こしたと考えられています。

 

チャタム諸島にネコが渡来された後、海岸にいたチドリは、捕食者のいないランガティラ島(別名:南東島)とチャタム諸島のウェスタン・リーフに残りました。個体数は、約120羽。ノドグロチドリは、世界で最も珍しい海岸に生息する鳥とされています。

 

ノドグロチドリは、沿岸の波立つ岩場や砂と岩の浜辺、塩草地、河口に住んでいます。そして彼らは、甲殻類(カイアシ類、貝虫、端脚類、ワラジムシ類)、クモ、軟体動物(腹足網、二枚貝)、昆虫及びそれらの幼虫を食べています。

 

(南極旅行/ロス海・亜南極7-4-5)