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南極クルーズ・北極クルーズの手引き

繁殖

繁殖(Breeding)

 

アホウドリは、通常は孤島に巣を作ります。コロニーが大きな陸地にある場所では、ニュージーランドのダニーデンのオタゴ半島のコロニーのように、海からいくつかの方向に飛び立てる露出した岬で発見されています。コロニーは、モリモークス(フォークランド諸島のマユグロアホウドリのコロニー。100㎡あたり70の巣の密度を持っています)のような非常に密集したコロニーから、ハイイロアホウドリ属やワタリアホウドリ属のように広く間隔をあけた密度の低いコロニーまで様々です。

 

すべてのアホウドリのコロニーは、歴史的に陸上哺乳類がいない島にあります。アホウドリは非常に強い帰巣本能を持っており、通常は繁殖するために生まれたコロニーに戻ります。この出生地に戻って繁殖する傾向が強い、コアホウドリの研究では、孵化した場所と巣を作った場所との間の平均距離は22mでした。ほとんどの海鳥と同様に、アホウドリはK選択(少数の子孫を確実に残す適応戦略)され、他の鳥よりもはるかに長く生きます。彼らは繁殖を遅らせ、若い個体を助け生存率を高くします。

アホウドリのほとんどの種は50年以上生存し、最も古い記録は成鳥となってからさらに51年間生き残ったキタシロアホウドリであり、推定年齢は61歳でした。ほとんどのアホウドリの生態観測を始めてまだ短い事を考えると、他の種がさらに長く生きることを証明できる日も近いかもしれません。

 

アホウドリは約5年をかけゆっくりと性的成熟に達しますが、成熟に達してから、もう2、3年(一部の種では10年まで)繁殖を始めないこともあります。若い非繁殖個体は、繁殖を開始する前にコロニーに入り、複雑な繁殖行動や踊りの練習に長い年月をかけることで有名です。初めてコロニーに戻ってくる若鳥は、すでにアホウドリがコミュニケーションを取るための一般的な行動は知っていますが、他の鳥のその行動を「読む」ことも、適切に反応することもできません。試行錯誤の末、若鳥はアホウドリの言語を学び、ダンスを完璧にします。この言語は、若鳥が大人の鳥の周りにいる場合、より早く学ぶことが出来ます。

 

繁殖行動のレパートリーは、毛繕い、ポインティング、鳴く、くちばしを鳴らす、見つめるなどです。このような行動を組み合わせます。鳥が最初にコロニーに戻るとき、多くのパートナーと踊りますが、数年後、1羽のパートナーを選択し、その後、彼らは最終的にその1組ごとに異なるダンスを作り出します。しかし、つがいになったあとは、そのダンスのほとんどは二度と使われることはありません。

 

アホウドリにとって、産卵と子育ては重要です。そのため完璧なパートナーを確保するために、これらの手の込んだ繁殖行動を行っていると考えられています。1年以内に産卵サイクルを完了できる種でさえ、連続して卵を産むことはめったにありません。ワタリアホウドリ属は、ヒナを巣立たせるために1年以上の時間を費やします。アホウドリは繁殖期に一つの卵を産み、もし卵が捕食者によって奪われたり、誤って割ってしまった場合、その年はそれ以上の繁殖の試みは行われません。ペアの「離婚」はまれな出来事であり、通常は数年間、繁殖ができなかった場合にのみ起こります。

 

南方に生息するアホウドリは、卵のために大きな巣を作ります、北太平洋の3つの種は、より簡易的な巣を作ります。一方、ガラパゴスアホウドリは巣を作らず、50mも卵を動かすことさえあります。すべてのアホウドリは、両親が交代で1日から3週間抱卵し、約70〜80日続きます。これは鳥類の中で最も長い抱卵期間です。この厳しい過程で親鳥は1日に体重が83g減ります。

 

育児期間が終わった後、ヒナは両親によって定期的に餌を与えられます。両親は、交代で餌を採りに行き。体重の約12%(約600g)の重さの食事を与えます。食事は新鮮なイカ、魚、オキアミ、胃の油です。胃の油は未消化の獲物よりも持ち運びが軽いエネルギー豊富な食品で構成されています。このオイルは、ほとんどの菅鼻を持つ鳥が生成します。前胃として知られている胃で獲物を消化し、彼らの独特のかび臭い匂いはこの胃からきています。

 

アホウドリのヒナは、巣立ちまでに長い時間がかかります。ワタリアホウドリ属の場合、280日かかることがあります。小さなアホウドリでも、140〜170日間を要します。多くの海鳥と同様に、アホウドリのヒナは両親よりも重くなるほど体重を増やし、巣立つ前にこれらの蓄積したものを使って体を成熟させます(特に飛ぶために必要な羽を伸ばすことによって)。

 

アホウドリのヒナは、親とほぼ同じ体重になったころに、自力で飛び、それ以上親の助けをうける事はなくなります。親はヒナが巣立った後に巣に戻り、ヒナが去ったことに気づきません。海に分布している幼年期の鳥の研究では、自然な移動行動と遺伝的に体に刻み込まれたナビゲーションルートがある事が分かっており、若い鳥が最初に海に出るときに役立ちます。

 

(南極旅行/ロス海・亜南極9-6-3)