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南極クルーズ・北極クルーズの手引き

ペリカン目ウ科

ペリカン目ウ科(Cormorants / Shags)
鵜は中型の鳥で、長い首と先が曲がった長いくちばし、長くて丸い翼、それに長い楔形(くさびがた)の尾を持っています。飛ぶ力は強く、常に一直線で、また雁のように集団でⅤ字形を作って飛びます。アゴヒゲを意味するアイスランド語からシャグと呼ばれる種類もいますが、これは繁殖期に現れる鳥冠から来ています。殆どの鵜は全体に黒っぽい色をしていますが、南半球では黒と白の色合いのものが多くなっています。

南極とそれに隣接した南米水域で見られる非常に良く似た3種類の鵜はこれまでかなり混同されてきました。英語ではImperial、 King、 Blue-eyedといったさまざまな俗称がつけられています。また鵜に相当する英語としてはcormorantとshagも両方用いられています。最近、多くの鳥類学者は、南極の鵜類はその他の地域の鵜とは別種であること、そして南極大陸にいる鵜類は全て同種、同一の類であることで、意見が一致しました。そこで、ここでは一つの名称だけを採用して、ズグロムナジロヒメウ(キバナウ)と呼ぶことにします。

鵜は基本的に沿岸地帯に留まる海鳥ですが、外洋の旅をすることもあり、しばしば長い旅に出かけます。南極での繁殖期にケルゲレン島、クローゼー諸島、マッコーリー島、サウスジョージア島を始めとする離れ島に鵜が辿り着いているのはこうした理由によります。

鵜は潜るのがうまく、かなり深いところまで潜ることが出来ます。身体が水中に低く浮き、獲物(大抵は魚、イカの場合もある)を追って水に潜るときは特徴のある前跳びの格好、つまり海老型になって跳び込みます。鵜は水中を大きな水掻きのある脚を使って進み、魚を追うときにはよく翼を半分広げて舵取りをしたり急旋回をしたりします。前向きの三本の足指間にだけに水掻きがある他の海鳥と異なり、鵜は4本の足指の間に水掻きがあります。その為、一層効率の良い泳ぎができるのです。

鵜は大きく湾曲した嘴で魚を引っ掴むと水面に出て、くわえた魚の位置を直してから頭から呑みこみます。鵜(および同類のペリカン、カツオドリ、グンカンドリ、熱帯地方の鳥、蛇鵜)とその他の海鳥との相違点は、鵜には外鼻孔がないことです。そのため口を開けて呼吸をしなければなりません。呼吸をするために鵜が咽喉袋をふるわせている姿は、まるで喘いでいるように見えます。

鵜は集団で繁殖しますが、南極大陸ではよくペンギン繁殖地の近くか、あるいはその中で営巣しています。泥やコンブ、岩、羽根、その他適当な材料を用いた嵩張った巣を作ります。普通一度に2~5個の卵を産み、雌雄が交代で4週間抱卵します。親は吐き戻したものを与えますが、雛たちが小さな頭を親鳥の喉まで突っ込んで食べ物を貰っている姿を眺めるのは微笑ましいものです。ペンギンと同様、幼鳥たちが集まってクレーシュ(保育所)を形成することも珍しくありません。

(南極旅行&南極クルーズ6-7-7)