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南極クルーズ・北極クルーズの手引き

気候

気候(Climate)
南極大陸の気候についての知識が得られたのは比較的最近で、長期にわたる詳細な研究が始まったのは、最初の恒久的科学観測基地が出来てから、特に1957年から58年にかけての国際地球観測年に関連した諸活動開始以降のことになります。今日では気象および気象関係の観測は南極のほぼ全ての観測基地の重要な任務のひとつになっており、各種気象データが急速に蓄積されつつあります。

南極大陸の天候に影響を及ぼす主要因は南大洋の海水、海氷の季節による変化、大陸を覆う氷床、標高および緯度(南)の高さです。海、沿岸、内陸などの地理的条件によって著しい気象の変化が見られます。例えば南大洋や小南極では、雲が多く発生し標高が高くて乾燥した高原の大南極では雲は最も少ないのです。留意すべき点は南極が極端に寒冷で、乾燥しており、風が強く降水(雪)量がほんの僅かだということです。

最も寒い大陸(The Coldest Continent)
何と言っても南極大陸は地球上で最も寒冷な大陸です。厳寒期、8月の内陸部の平均気温は-40℃から-70℃で、一番暖かい2月でも-15℃から-45℃の間です。これまで地球上で記録された戸外での最低気温は-89.2℃で、1983年に内陸の氷床上にあるロシアのボストーク基地で記録されたものです。海水位では南極の気温は北極より10℃から17℃ほど低くなります。但し、寒暖の差が大きく、例えば亜南極諸島では気温は真冬(8月)の-40℃から、1月ないし2月の+14℃まで変わります。

最も風の強い大陸(The Windiest Continent)
南極大陸は、また地球上で最も風が強い大陸でもあります。地球規模の風流に加えて南極大陸は独自の風の体系を生み出しています。冷たく密度の濃い空気が内陸の高地の氷床から海岸沿いの低地に吹き下りてきます。氷床の端で風は強まり、雪の雲を大気中に吹き上げます。最も強力な風はおおむね大南極の長く連なる海岸の斜面で起きます。海岸地域のある場所では常に強風に晒されている場所があり、普段は穏やかなのに、空気が氷河の谷を駆け下りる際、突然ハリケーンの様な強風が吹く事もあります。この予期せぬ突風はカタバ風、あるいは斜面下降風と呼ばれています。有名なオーストラリアの探険家ダグラス・モーソンは1912年にコモンウェルス湾のデニソン岬に基地を設けて2年間風速を記録し続けました。ここは地球上で最も風の強い場所としても有名です。というのも当時の平均風速は時速72kmで瞬間的には毎時240㎞になるのが普通だったからです。そうした場合でも海岸からほんの数キロ離れただけで、風速が急激に落ち込む現象が観測されています。

南極大陸を訪れる皆様には何の前触れもなく、突然カタバ風が吹き荒れ、また急速に凪いでゆく現象がある事をご承知ください。風速冷却指数による極端な気温の降下に注意する必要があります。南大洋、特に南緯40度~60度の地域では日常的に、大暴風を記録しています。これら台風級の暴風は南極大陸からの極めて冷たい空気が北の海上で比較的暖かくて湿った空気とぶつかって発生するものです。これが悪名高いドレーク海峡で吹き荒れる暴風です。この暴風は南極大陸を西から東へと移動します。

最も乾燥した大地(The Driest Continent)
驚くべき事に南極大陸はまた最も乾燥した大陸です。定義の上では、南極大陸の大部分が砂漠と言えます。内陸部の年間降雨量はごく僅かで、南極の氷床を形成する大量の氷や雪は、何百万年もの間の蓄積なのです。大陸全土の平均年間降雪量は水に換算すると僅かに15cmですが、この量はサハラ砂漠の降雨量よりやや多目といえるものです。しかも、液体ではありません。液体の水は夏の長い日照時間で暖められた岩や堆積物に接して融けた氷や雪です。しかし海岸地域、特に南極半島の西側ではより多くの降雨量が見られます。半島の先端では毎年水換算で約90cmの降雪があります。その地域とサウスシェトランド諸島では雨も降ることがあります。時には典型的な海洋性気候の大雨が降ることもあります。寒冷な空気は、雷がおこりにくく、ほとんどは、サウスジョージア島などの沖合の島に限られます。

ここまで様々な気象の記述をしてきましたが、南極半島を訪れる方々は、それほど酷い悪天候の心配をする必要はありません。南大洋の横断は比較的に容易であり、厳しい嵐は夏の時期、それほど頻繁に起こる事はありません。南極半島の狭い水路は周りの島々が楯となって風を防いでくれます。同様に大南極では晴れた日が普通で、亜南極諸島や南極半島で強い日照に晒される事さえあります。訪問者は常に寒冷な天候に備える必要がある一方、しばしば気温が上昇して、防寒用上着(パルカ)を着ていられない位の場合もあるのです。夏の平均気温は氷点温度に近くなります。

大気現象(Atmospheric Phenomena)
他にも特筆すべき興味深いいくつかの大気現象があります。ハロー現象は、太陽や月の光が大気中に浮遊する水滴や氷の結晶により屈折又は反射することにより生じます。この結果三つの「太陽」や「月」が水平線上に平行に見える事もあります。ハローは太陽や月が水平線の上15~20°の角度にある時に一番良く見る事ができます。蜃気楼は光が熱い空気層と冷たい空気層で屈折して出来ますが、これもしばしば見る事が出来ます。おそらく最も注目される空に見える現象は目もさめる様に美しい南極光(オーロラ・オーストラリス)でしょう。この電磁現象は誰もが良く知っている北極光(オーロラ・ボレアリス)の南半球版ですが、こちらは北極とは違って暗い空にならない夏の南極には見えにくいものです。太陽黒点が活発な時に最も出現するものです。

(南極旅行&南極クルーズ5-3)